シェイクスピアのソネット27 Weary with toil

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シェイクスピアのソネット27 Weary with toil, I haste me to my bed(壺齋散人訳)

  くたびれ果ててわたしは寝床へと急ぐ
  旅に疲れた手足を伸ばせるところへと
  すると今度はわたしの頭の中での旅が始まり
  身体を休めている間に心を労するのだ

  わたしの思いは 本来の住処を遠く離れて
  君のもとへと巡礼の旅をする
  わたしは垂れ下がった瞼を大きく開くと
  何も見えない闇を凝視するのだ

  それは心の中の画像が夜の帳に
  君の姿を浮かび上がらせると思ってなのだ
  その像は恐ろしい夜に垂れ下がった宝石のように
  漆黒の夜を美しく輝かせる
    見よ!昼は手足を使い 夜は心を労し
    君と自分のことで私には安らぐ暇もないのだ


27から30までの作品は、瞑想的で静かな雰囲気のものである。そこでは、愛する人から引き離された寂しさや、孤独感といったものが歌われるが、それはシェイクスピアの時代にあって、詩の大きなテーマのひとつだった。

この詩では、眠れぬ夜に、愛するもののイメージを求めて煩悶する詩人の心が歌われる。昼の間は旅に疲れて、夜もまた眠りを得られない。それはほかならぬ君のためなのだと詩人は歌う。


SONNET 27 –William Shakespeare

  Weary with toil, I haste me to my bed,
  The dear repose for limbs with travel tired;
  But then begins a journey in my head,
  To, when body's work's expired:

  For then my thoughts, from far where I abide,
  Intend a zealous pilgrimage to thee,
  And keep my drooping eyelids open wide,
  Looking on darkness which the blind do see

  Save that my soul's imaginary sight
  Presents thy shadow to my sightless view,
  Which, like a jewel hung in ghastly night,
  Makes black night beauteous and her old face new.
    Lo! thus, by day my limbs, by night my mind,
    For thee and for myself no quiet find.

Travel:旅を意味するとともに、労働や心労も含意する、work my mind:私の心を活発にさせる、from far where I abide:私の住むべきところ、つまり君のもとから遠く離れて、Save that:except that、Presents thy shadow:私の前に君の姿を現させる、Which:君の姿、Lo! Thus、loはbeholdに同じ、lo thus で、かくして、このようにして、


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