詩経国風:鄭風篇から「褰裳」を読む。(壺齋散人注)
子惠思我 子 惠にして我を思はば
褰裳涉溱 裳を褰(かか)げて溱を涉らん
子不我思 子 我を思はずんば
豈無他人 豈に他人無からんや
狂童之狂也且 狂童の狂や
子惠思我 子 惠にして我を思はば
褰裳涉洧 裳を褰げて洧を涉らん
子不我思 子 我を思はずんば
豈無他人 豈に他人無からんや
狂童之狂也且 狂童の狂や
あなたがわたしを思ってくれるならば、もすそをからげて溱を渉りあなたについていきましょう、わたしのことを思ってくれないなら、他にいい人がいないわけではありませんよ、色男のこんこんちきさん
あなたがわたしを思ってくれるならば、もすそをからげて洧を渉りあなたについていきましょう、わたしのことを思ってくれないなら、他にいい人がいないわけではありませんよ、色男のこんこんちきさん
女が浮気心の強い色男に迫っている歌である。愛してくれるならどこまでもついていくけれど、荘でなければ他の男になびいてしまうからと、さかんに男を挑発している。
溱も洧も河の名、狂童とは智恵の浅い浮気な男の意、自分になびかないのは智恵が浅いからだといいたいのだろう