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本所吾妻橋のもつ焼屋「稲垣」に集う


筆者は現役最後の職場を三年半も勤めたので、その間に多くの人と出会った。それらのうち今は転出してほかの職場で働いている連中が、筆者の定年退職を記念して、送別会を開いてくれた。場所は地下鉄本所吾妻橋駅近くにある「稲垣」というもつ焼屋である。

この店では現役時代に何度か、宴会をやったことがあった。何せ筆者を含めて懐具合がよいとはいえぬ面々なので、手頃な値段でたらふく食え、かつとことん飲ましてくれる店でないと、人を集めるのはむつかしい。この「稲垣」という店はまさにこの条件にぴったりあっており、5000円も出せば、飲み放題でしかもふんだんな料理を味わえるのである。

この夜集まったのは昔の同僚十名ばかりと、職場に出入りしていたセールスウーマン三人であった。セールスウーマンを呼んだのには多少わけがある。まず筆者のいた職場には、女性職員が一人もいなかったこと。二つには、これらの女性たちが非常に気さくな性格の持ち主で、日ごろ腹蔵なく付き合っていたこと、この二つの理由で気軽に声をかけたら、喜んで参集してくれたわけなのだ。もちろん会費は男たちが持った。

男たちのなかには2年ぶりに見るという顔もある。また筆者と職場を同じくしたことがないにかかわらず、わざわざ参加したものもある。しかしひとつの膳を肩を並べて囲めば、百年の知己も同様だ。

筆者は大げさなセレモニーが大嫌いなので、堅苦しい挨拶は抜きにして、すぐさま乾杯、次々と出される料理を食いながら、談笑にこれ励んだ。

この店はもつ焼屋なので、もつ焼きと煮込みが出てくるのは当然として、刺身、てんぷら、焼き魚、煮物、揚げ物、漬物、汁物と趣向を変えて次々と出てくる。最後には鍋が出て、それでもって煮込みウドンを作ってもくれる。呑み助は無論のこと、あまり酒をたしなまない連中も、十分納得できる。

こんな風だから、地元では大いに重宝がられているらしい。表通りに面した母屋のほか、裏の横丁には座敷をたくさん構えた離れがあるが、どちらも超満員の繁盛ぶりだ。横丁には床几がいくつか置かれていて、席待ちの客が腰掛けられるようになっているが、これもまた順番を待つ人でいっぱいなのだ。

六時半ごろに宴会を始め九時を過ぎたところで散会することとした。筆者がだらだらと長く飲み続けるのが嫌いなことを、みな知っているのだ。そこで幹事役が三々七拍子で締め、いざ解散という段になって、誰がいうともなく、筆者にヨガのポーズをやってくれという声が起こった。以前にこの連中と一杯やったときには、よくヨガのポーズをとったことがあるが、それを余興代わりにやれというのだ。

まず手のポーズをとり、ついで足のポーズをとり、最後に腰をひねるポーズをとった。無論ほかの連中も筆者に合わせてポーズをとる。

宴会の席が俄ヨガ道場となり、男も女もたるみかかった身体に活をいれたところで、ついに本物の解散となった次第だ。


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