2008ワールドシリーズ：フィリーズが28年ぶり2度目の制覇

決定戦となった第5戦は、46時間ぶりに再開。試合は先日の攻撃を引き継ぐ形で行なわれた。このサスペンデッド・ゲームというのは、相撲の水入りとよく似たルールで、当日決着がつかなければ、翌日その続きを行うというものだ。大リーグでは、日本のように引き分けを好まず、どんなに時間がかかっても決着をつけようとする傾向が強いが、それでも自然条件などで決着がつかないときは、このようにサスペンデッドの状態にして、水入り後の再開をする。サスペンデッドとは文字通り、試合を一時保留することだ。

今年のワールドシリーズは大方の予想を裏切る対戦となった。フィリーズは伝統ある球団だが、30球団中唯一1万敗を喫しているように、万年Ｂクラスの弱い球団。今年も前評判は低かった。レイズの方は、球団の歴史が最も浅く、昨年は地区最下位だった。この両者がそれぞれ勝ち上がって対戦したのだから、野球ファンの度肝を抜いたのだ。

フィリーズの創設は1880年、なんと128年の歴史を有している。現存の球団としてはレッズ、ジャイアンツ、カブス、ブレーブスについで古い。しかも1882年のナショナルリーグ加盟以来、フィラデルフィア・フィリーズの名を冠し続けている。同じ球団名で最も長く戦い続けてきたチームでもある。

だがフィリーズは、他の伝統球団のように歴史に名を残すスーパーヒーローを生んだことがなかった。それが災いしてかＢクラスに甘んずることが多く、負けに負けを重ねてついに1万敗を喫するありさま。

1915年と1950年にリーグ優勝を果たしたが、いずれもワールドシリーズで敗退。1980年には、過去にただ一回ワールドチャンピオンになったが、この時には、チーム100年の歴史上最も充実した戦力を誇っていた。カールトンが24勝をあげ、シュミットが48本のホームランを放ってタイトルを取ったほか、あのピート･ローズが助っ人に加わっていたのだ。

その後フィリーズは1983年と1990年にもリーグ優勝を果たしたが、ワールドチャンピオンにはなれなかった。100年以上の歴史を誇るチームで、一回しかワールドチャンピオンになれなかった球団は、もちろんフィリーズだけだった。

そのフィリーズが28年ぶりにワールドチャンピオンになったとあって、地元フィラデルフィアの市民は熱狂したようだ。なにしろ気の遠くなるような長い年月、この弱小球団をひたすら応援してきたのだから、喜びはひとしおだ。

それにしても、大リーグが日本人にとって身近なものになったのは、多くの日本人選手が活躍するようになったからだ。今年も松坂がレッドソックスで18勝をあげ、岩村はレイズの快進撃に大きな貢献をした。

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