深海の奇妙な生物たち

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深海に生息する類のタコには墨袋がない。タコが墨を吐き出すのは敵から姿をくらますためだが、深海はもともと真っ暗なので、その必要がないからである。

深海にすむタコは世界中の広い海に分布しているが、それらはすべて南極の海に起源を有しているそうだ。海洋学者ロン・オドーア博士の研究によれば、南極が寒冷化して氷に閉ざされるようになって以来、そこに棲んでいたタコが周辺の海に散らばったということらしい。

深海の水には塩分と酸素が凝縮しているところがある。深海のタコはそういう場所に棲んでいる。その水があふれて移動すると、それに乗った形でタコも移動するらしい。

科学が発達して、いまや月や火星の状況まで分るようになった。だから地球のことについては、人類はことごとく知るようになったかといえば、そうではない。ことに深海の事柄は、まだ分らないことが多い。

オ・ドーア博士を中心とする世界中の海洋学者はいま、互いに連携をとりながら地球の深海についての研究を深めつつある。近く(2010年頃)その成果が集大成される見通しだという。その中にはこれまでよく知られていなかったことが多く含まれているそうだ。

たとえばニュージーランド沖の海底山脈には、稜線にそって巨大なヒトデの集落が形成されている。この稜線にそって流れている海流が、豊富な餌をもたらしているためだ。ヒトデは五本の手を伸ばすだけで容易に餌をとることができるので、爆発的に繁殖したらしい。

北大西洋の中心部を南北に走る海底山脈には、4000メートルを超える深さにもかかわらず、イソギンチャクやエビの大集落が形成されている。ミシシッピーの河口に続くメキシコ湾の海底には甲殻類の巨大な集落が形成されていて、珊瑚礁に劣らぬ美観を呈しているそうだ。

沖縄諸島の東側に延びる海溝は7000メートル以上の深さがあるが、そこにはクラゲが多く生息している。研究者たちはこんなに深い海でも、クラゲの棲息を支える餌が大量に存在することに驚いている。

太平洋には周辺の海域からホオジロザメが大量に集まってくるところがある。サメたちは冬になると長い距離を泳いでここに集まり、半年の間共同生活をするのだそうだ。彼らが示す行動のうちには、理由のよくわからぬものがある。たとえば男女ペアで深海までダイヴィングするといったものだ。これはおそらく繁殖のための行動なのだろうと考えられている。

こういう具合に、今まで分らなかった深海の様子が一つ一つ明らかにされつつある。遠くない将来、我々は深海の様子を通じて、地球のことをより深く理解できるようになるだろう。


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