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ミシュランの日本版旅行ガイド:三ツ星は高野山など17


世界中のレストランに星をつけて格付けすることで知られるミシュランのガイドブックが、東京のレストランを高く評価して世界中に紹介したのは昨年のことだったが、今度は日本全国の観光地の中から、外国人が訪れたくなるような場所を選んで格付けし、ギド・ヴェール日本観光版として、今年3月に発表するそうだ。

新聞がその概要を紹介していたので読んでみたら、日本全国の観光地200箇所が紹介され、その中から17箇所を三ツ星評価していた。評価の基準はあくまでも、フランス人が訪れたくなるような場所ということだが、我々日本人の眼にも、大方納得できる場所ばかりだ。

東京、京都、奈良といった観光都市、高野山、伊勢神宮、法隆寺といった宗教施設、日光、姫路城、宮島、飛騨高山、白川郷、五箇山といった文化遺産、そして富士山、松島、屋久島、石垣島、高尾山といった自然が取り上げられている。西南諸島のほかはすべて本州ばかりで、北海道、四国、九州が含まれていないのはどういうわけか。

評価の項目を見ると、印象深さ、知名度、遺産的豊かさ、名声、歴史的遺産価値、美しさ、真正さ、アクセスのよさ、もてなしの質の九つが上げられている。東京は知名度、京都は遺産的豊かさ、奈良は歴史的遺産価値、屋久島は美しさの基準によってそれぞれ最高の評価をうけた。

面白いのは高尾山で、日本人にとってはお手軽な週末観光地としてあまり高く評価されることもないのだが、これがフランス人にとっては魅力的な観光地なのだという。大都市に近いにかかわらず雄大な自然が広がり、山の上からは富士山もよく見える。そこのところが魅力的なのだそうだ。おそらくパリ郊外の森に相当するようなものとして、彼らの目に映ったのだろう。

興味深いのは高野山だ。ここは日本人が訪ねても心を洗われるようなすばらしさに満ちている。西洋人にとってもそれは同じなのだろう。「浮世と全く違う時間が流れている。森の中をいくと伽藍があらわれ、まさに神秘的」と感動の言葉を吐いている。

たしかに高野山は神秘的だ。全山が静寂に包まれ、時間がここではゆっくりと流れている。深い森に包まれた伽藍の周囲には、古びた墓が点在し、悠久の歴史がここで眠っていることを感じさせてくれる。

そして白い衣を着た順礼の姿があちこちに見られ、中には彼らの一団が伽藍にむかって合掌し、全員で「ナム・ハンニャー・ダラニー」と唱える。そんな光景を見ていると、浮世のことが心の中からすとんと抜けて、自分が御伽噺の世界に迷い込んだような気分になる。


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