上野池之端の鰻料理屋伊豆栄に集う

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学生時代から仲の良い友人3人と久しぶりに会い、上野池之端の鰻料理屋伊豆栄に懇談した。もともと新年会のつもりだったのを、滅茶苦茶に多忙な男がいて、1月をやり過ごしてしまったが、まあ暦の上では立春を過ぎたばかりだから、別の意味で新年会といえなくもない。

通された6階の座敷の窓からは、不忍池が見渡されて、なかなか良い雰囲気だ。街の騒音が聞こえて来ず、都会の中にあることを忘れてしまうほどだ。

この店の支店は上野の公園の中にもあって、筆者はそこに入ったことは何度かあるが、本店のこの店に入るのは始めてだ。仲居さんに聞くと、創業280年の老舗だそうだ。池之端一帯は、徳川時代の後半には上野山下の門前町として、また湯島天神の氏子町として、繁華な行楽地帯が形成されていたところだから、この店はその頃からここにでんと構えていたのだろう。

この店の売り物は鰻だ。我々も鰻をメインにした会席料理を頼んで、飲み食いかつ歓談した。その間仲居さんがずっとはべっていて、我々の他愛ない話に相槌を打ってくれる。

Y子は昨年の秋、執筆活動に明け暮れていたところを、やっとその成果が本になったといって、我々に一冊ずつ贈ってくれた。題して「日本のモノづくりイノベーション」。内容は東京の中小企業を論じたもののようだ。後で精読して、その感想をブログに載せてみるよ、筆者はそういって本を貰った。

O子は細君が腰のヘルニアを患い、この春に大手術を控えているという。年をとって配偶者のほうが先に病気がちになったりすると、男はいろんな意味でつらいものだ。他の三人はみな同情した。幸いなことに人に同情できるほど、それぞれに夫婦の間柄が安定してるのだろう。

当初は5月の連休明けあたりに一緒に旅行しようと話していたのだが、O子の話を聞いて、6月の末に延期しようということになった。やはり仲の良いメンバーの一人でも欠けると、旅の楽しさがそがれてしまうものだから。

M子と筆者はとりたてて報告すべき程の変わったこともない。毎日を平々凡々と過ごしている。まあ年をとると、その平々凡々が価値のあることになるのかもしれないけれど。

酒が入るにつれて話しが大きくなっていくのはいつものことだ。政治の堕落を憤慨し、経済の沈滞を分析し、人が生きる喜びとはなにかを論ずる。そのうち経済の話が痴話話に転じ、政治の話が下ネタに変わる。こういった具合で談論の趣旨は定まるところがない。

筆者がスッカリ酔っぱらってしまったところで、仲居さんが助け舟を出してくれた。「この方のお顔は上野のお山のお猿さんみたいに真っ赤ですよ、もうこの辺が潮時のようにお見受けします。」

こんなわけで、散会することとした次第。Y子は神奈川方面へ、M子は多摩方面へ、O子は埼玉方面へ、そして筆者は千葉方面へと、それぞれ違う方向を目指して、ちりぢりに四散した次第だ。


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    このページは、が2009年2月11日 20:51に書いたブログ記事です。

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