デッドビート The Dead-Beat:ウィルフレッド・オーウェン

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ウィルフレッド・オーウェン Wilfred Owen の詩「デッドビート」The Dead-Beat(壺齋散人訳)

  男は疲れきったというより不機嫌そうに倒れた
  そしてタラか肉の塊のように横たわった
  だれも気にかけるものはない
  男はぼくの拳銃をぼんやり見つめ
  戦争のことなど忘れてしまったように見えた
  でも吹き飛ばされた塹壕のほうをちらっと見やり
  こうつぶやいた "ちくしょう
  この手さえ元通りになればやつらを殺してやる"

  誰かが低い声でいった
  "こいつはまだ生きているやつのことを夢見てるんだよ
  たくましいおじさんたちや
  若々しいカミさんのことを
  いまごろは故郷の家でのんびり暮らしてるだろうよ
  そこらに転がってる死体のことやドイツ兵など目にないんだよ"

  我々はその男を後方に送った
  まだ元気な若いやつも仮病を装っていっしょに運ばれていった
  担架を担いでいる男が言う "こいつはぴんぴんしてるぜ"

  次の日ぼくは軍医から聞かされた
  "あのクズはしばらくしてから死んだよ なんてこたあない"


Dead-Beatとは、クズとか役立たずの男という意味。元気なくせに仮病を装って戦列を離れた兵士をさしているのだろう。だから最後の行で、医師が Scumといったのだと考えられる。その男がなぜ死んだのか、この詩は明らかにしていないが、むしろそのことによって、異常な感じをかもし出している。


The Dead-Beat

He dropped more sullenly than wearily,
Lay stupid like a cod, heavy like meat,
And none of us could kick him to his feet;
Just blinked at my revolver, blearily;
Didn't appear to know a war was on,
Or see the blasted trench at which he stared.
"I'll do 'em in," he whined, "If this hand's spared,
I'll murder them, I will."

A low voice said,
"It's Blighty, p'raps, he sees; his pluck's all gone,
Dreaming of all the valiant, that AREN'T dead:
Bold uncles, smiling ministerially;
Maybe his brave young wife, getting her fun
In some new home, improved materially.
It's not these stiffs have crazed him; nor the Hun."

We sent him down at last, out of the way.
Unwounded; stout lad, too, before that strafe.
Malingering? Stretcher-bearers winked, "Not half!"

Next day I heard the Doc.'s well-whiskied laugh:
"That scum you sent last night soon died. Hooray!"


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