自閉症はなぜ男子に多いか

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自閉症になる確率は、男子のほうが女子より四倍も高い。何故そうなのか、よくわかっていなかったが、神経細胞内の遺伝情報にその手がかりがありそうだということが、最近の研究であきらかになりつつある。なかでも先日 Molecular Psychiatryがネット上で発表した研究成果が、自閉症の発症と密接な関連をもつ遺伝子を特定して、関係者の注目を浴びた。

CACNA1Gというこの遺伝子は、女子に比べ男子のほうに多く存在している。その結果男子のほうが自閉症になる確率が高いということだが、では何故この遺伝子が男子のほうに多く存在しているのか、そこまで突き止めることはできていない。

CACNA1Gは第17染色体に位置していて、細胞におけるカルシウムの代謝に深くかかわっている。神経細胞が活動するためにはカルシウムが必要なことは前からわかっていたが、CACNA1Gが関与すると、このカルシウム代謝が異常をきたし、その結果精神障害をもたらすということらしい。発症する症状には、自閉症のほか癲癇もある。

発症のメカニズムは、つぎのようなプロセスをたどる。神経細胞はカルシウムを取り入れて活発化し、互いに情報の伝達をするようになるが、カルシウムが過多になると、細胞も過度に興奮するようになる。過度に興奮した細胞同士は、情報の伝達を円滑に行えなくなり、その結果精神障害を引き起こす、こういった具合だ。

発症のメカニズムがここまでわかってきたので、次はそれを臨床に生かすことを考える番だと、研究者たちはいっている。CACNA1G自体の存在は抹消できる話ではないらしいので、それと共存しながら、その作用をいかにコントロールするか、これが眼目となる。





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