ネズミを食うという巨大な食虫植物が見つかったそうだ。植物学者のスチュアート・マクファーソン Stewart McPherson 氏が、フィリピンのヴィクトリア山頂上付近で発見したもので、ウツボカズラの仲間である。高さが120センチもあり、葉がピッチャー状になった袋の中には、濃厚なネクターがたたえられていたそうだ。虫やネズミがこの袋の中に誤って落ちると、そのネクターの中に含まれている酵素と酸が働き、獲物を消化吸収する仕組みだ。
いままで世界一大きいとされる食虫植物は、1858年にボルネオで発見された。やはりウツボカズラの仲間であるが、今回発見されたものとは、多少違う種類に属する。今回のは、それより多少小さめで、記録としては二番目の大きさになるそうだ。
食虫植物が昆虫などを捕らえて消化するのは、栄養分を補給するためだとされている。やせた土地に生えていて、リンや窒素などを地中から十分に補給できないために、動物を消化してそこから必要な補給をおこなうという、自然の摂理だ。そのような植物は根だけではなく、葉からも栄養を吸収できるような構造になっている。
そのような植物を栄養に富んだ土壌に植えると、捕食行動を示さなくなる。根から栄養を補給できれば、あえて虫を捕らえて消化する必要がないからだろう。
マクファーソン氏が今回の発見をしたきっかけは、2000年にそのような植物をみかけたという情報を、登山者から聞きつけたことだ。それ以来粘り強い調査を続けてやっと見つけたということらしいが、それにしてもこんなに巨大でしかもグロテスクな形をした植物が、長い間人に知られることがなかったは、不思議なことだ。
一方、この話を聞きつけた人の中から、この植物をネズミ退治に活用できないかとの相談が持ち込まれたという。ニューヨークなどの大都市ではネズミの増加に苦慮しており、公衆衛生上座視できない状態になっているので、なんとか活用できないかというのだ。
これに関して、マクファーソン氏は否定的だ。かりに移植に成功したとしても、この植物はそう頻繁にネズミをとるわけではない。植物がネズミを捕獲する速度より、ネズミが繁殖する速度のほうが遥かに早いからというのが、その理由だ。
虫は勿論、ネズミまで食べるなんて凄い植物ですね。
此方は何故か寺田寅彦宅のような気がします。 話題が豊かで、今日は何かと伺うのが毎日楽しみです。