月にも水があった:チャンドラヤーンの報告

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これまで月には水は存在しないと信じられてきた。日本の月周回衛星「かぐや」が昨年(2008年)実施した月南極のクレーター調査によっても、水の痕跡は発見されなかったと報告されていた。ところがこれを覆すデータが出てきた。インドの月探査衛星チャンドラヤーンが送ってきた資料から、月の表面に水が存在していること、しかもそれは現在でも生成されていることが、突き止められたのだ。

チャンドラヤーンはインドが国の威信をかけて飛ばした衛星だ。そのミッションのひとつに、月における水の存在を突き止めることがあった。そのために高度な装置を携えていった。Moon Mineralogy Mapper(M3)とよばれるものがそれで、鉱物の組成から水の存在の有無を調べるものだ。

今回の研究を主導したのは、インド宇宙研究機構とアメリカのブラウン大学のグループだ。彼らは月の表面を覆う鉱物の電磁波 Electromagnetic Radiation を分析することによって、月の表面の広い範囲に水の存在を示す証拠が示されているばかりか、水素と酸素が結合することによって、新たな水が作られていることを発見した。

月に水が存在していることは、我々人類にとって大きな意味がある。月に有人基地を設けるためには、月の中で水を確保できることが大きな利点となるし、水を分解することで、酸素を補給し、水素を燃料源として利用できるからだ。

月に大量の水が保存されているとすれば、それは両極圏である可能性が高い。極地の温度は-238℃で、太陽系の中で最も低く、過去に生成された水がそのまま保存されている可能性が高いからだ。

だが昨年の「かぐや」の報告にあるとおり、両極圏のクレーターからまとまった水を探し出すことは、いまのところできていない。今後の研究の発展を期待したいところだ。

ところでチャンドラヤーンは、7月に制御装置が故障し、8月には通信が途絶えたため、予定期間より早くミッションを終了した。だから今回の発見につながったデータは、間一髪のところで地球への送信が間に合ったわけである。

(参考)India's lunar mission finds evidence of water on the Moon(上の写真も含めTIMES)





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このページは、が2009年9月25日 19:36に書いたブログ記事です。

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