上の写真(AFP提供)は、パリはセーヌ川に登場したリバーサイド・アート。サン・ルイ島近くの岸辺の壁を覆い尽くすように描かれているのは、女性の巨大な瞳、題して Women Are Heroesというそうだ。ユニークなストリート・アーチストとして今売り出し中のJR氏が、女権拡張運動のためにデモンストレートしたもので、10月始めから2ヶ月間、パリっ子や旅行者の目玉をひっくり返し続けそうだ。
JR氏は、本名を明らかにしていないが、すでにこの変わったネーミングで世界中に知られている。ベルギー人の男性の写真家で、かつ前衛的なアーチストだ。これまでに自分の写真をさまざまにコーディネートした作品で、世界中の建物やら構造物の壁を飾ってきた。
氏の芸術上のインスピレーションの源泉は、主に人の表情にある。これまで地球上の人間たちの表情豊かな顔を28ミリレンズで切り取っては、巨大なストリート・アートを作ってきた。今回は上の絵のように、女性の瞳をテーマに選んだということだが、それにはちょっとしたいきさつがあった。
最近、シェラレオネ、リベリア、スーダン、ケニアなどアフリカ各国を旅して、女性たちの貧しい生活と、それでも逞しく生きる彼女らの生き生きとした顔を撮影するうち、彼女たちのために何か出来ることはないかと考えるようになった氏は、彼女らをテーマにした芸術イベントを催すことで、いささかでも助けになりたいと思うようになった。今回のデモンストレーションはそうした氏の熱意が爆発したものだというのだ。
セーヌ川の岸辺に沿って、女性の巨大な瞳が並び、対岸を歩く人たちの目を釘付けにする。上の写真はその一部だが、これだけでも十分迫力が伝わってくるだろう。
リバーサイド・アートとしては、隅田川の岸壁に埋め込まれたレリーフの類が、東京人にはなじみがあるが、こんな破天荒な壁画はいままで見たことが無い。レリーフのほかに目にするものといえば、ホームレスたちのビニールテントが織り成すわびしい眺めばかりだ。
JR氏には是非東京にも来てもらって、隅田川の岸辺に魅力的なアートを施してもらいたいものだ。
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