最新号の Newsweek が、カバー写真に先の大統領選の共和党副大統領候補だったサラ・ペイリン女史を取り上げたところ(上の写真)、アメリカ国内ではちょっとした騒ぎになったそうだ。ペイリン女史を支持する共和党の右派からは怒りを買う一方、民主党を始め左派の連中は密かにほくそ笑んでいるというのだ。
ペイリン女史自身も、FaceBookの中で不快感を表明した。この写真はスポーツ雑誌のために、健康をアピールする目的で撮らせてあげたのに、コンテクストを無視して、政治記事のカバー写真として載せることは、露骨なセクシズムで、不適切だというのだ。
筆者のような異国人の目には、この写真のどこが右派やペイリン女史の神経を逆なでしたか、俄かにはわからない。まあたしかに、政治と女性の健康な肉体美はあまり関係がないといえるから、女史の反発にも理由があるのかなと思ったりする程度だ。
しかし事情通によれば、右派や女史の怒りには十分な理由があるということらしい。右派はマッチョな男のイメージと結びついている。ペイリン女史は女性ながら、マッチョな雰囲気を漂わせている、そこがいまや落ち目の共和党右派にとって、馬鹿にされたような気分になったのだろうというのだ。
右派の人々は意気込みながらこういっているそうだ。Newsweekは昔から、左派的な考え方の女性を時代のヒロインのように持ち上げてきた一方、右派的な女性を、筋肉だけで出来たのろまのように描いてきた。本文の中で展開している共和党批判の趣旨と、カバーを覆っているペイリン女史の写真の組み合わせは、アメリカの健全な保守主義をカリカチュアライズするものだと。
そこで当の本文を読んでみたところ、なるほどペイリン女史は、多少滑稽な役まわりに描かれている。そのペイリン女史はいまや共和党内の右翼のチャンピオンとして、時期の大統領候補になることを意識している。だがペイリンではオバマには勝てないだろう。共和党はマッチョな連中だけでは再生できない、こんな趣旨だ。
Newsweekがペイリン女史をカバーに取り上げるのは今回が始めてではない。昨年の秋にもやはりカバーを飾らせたことがあったが、その折にはアップで映し出された彼女の顔に、年齢を感じさせる皺がたくさん写っていたそうだ。普通なら写真に手直しを加えて、そんな皴は消してやるのが礼儀なのに。
こんな話まで加わって、右派の人々からのNewsweek攻撃は、当分納まる気配が見えないようだ。
コメントする