オーストラリア内陸部の乾燥地帯で地下の生物を探査していた研究グループが、これまで知られていなかった地下動物を850種類も発見した。アデレード大学の無脊椎動物研究者アンディ・オースチン博士らが中心になって、4年間にわたって調査した結果見つかったものだ。
発見された地下動物の生息場所は、地下水の中と洞窟の中などに大別される。地下水にすむものの4分の3は甲殻類で昆虫や亀類が続く。一方洞窟の中などは、半分がクモ類、昆虫が4分の1を占める。
上の写真(ナショナル・グラフィック提供)はそのうちのひとつで、クモの仲間だ。目が退化しているのと色が白っぽいのが見て取れる。これはこのクモに限らず、発見された地下動物全体にいえることだ。地下の暗闇に適応するうちに、視覚を失う一方、色素が脱落していった結果と思える。
その代わりに他の感覚器官は発達している。手足は長く、触角はするどい。暗黒の中で餌をとる必要に迫られた結果、このような進化を遂げたのだろう。
これらの動物は始めから地下生活をしていたわけではなく、もともとは地上にいたものが、地球の気候変化によって地下に移動するのを余儀なくされたのだと考えられている。
オースチン博士によれば、オーストラリアの中央部から南部にかけての地域は、1500万年前には湿潤な気候で、地表には植物が繁茂し、そこに多くの無脊椎動物が生息していた。その後乾燥が始まり、100-200万年前頃に現在のような乾燥地帯になった。この過程で地表に暮らしていた動物が地下にもぐり、それぞれ独自の進化をたどったと考えられる。
博士たちの調査はまだ、計画区域の10パーセントほどをカバーしているにすぎない。今後調査が進めば、もっと多彩な地下動物が発見されていくことだろう。
(参考) 850 Mostly Blind, Pale Creatures Discovered Underground By Charles Q. Choi
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