ディズニーの3D映画「アリス・イン・ワンダーランド」が上映されている。なにせアリスは筆者にとっては子どもの頃からの馴染だ。そんな彼女がやってくるとあっては、見に行かないわけにはいかない。そこで本八幡の映画館まで足を運んでみた。
筆者の知っているアリスはまだ6歳の小さな少女だった。彼女がウサギ穴に落ちて、その後に出会った不思議な世界については、世界中の多くの人が知っているとおりだ。ところがこの日出会ったアリスは19歳の乙女になっていた。
その19歳のアリスが再びウサギ穴に落ちて、あのワンダーランドに舞い戻る。そこにはアリスを導いたウサギのほかに、ちしゃねこや芋虫、そして鏡の国の兄弟トウィードルディーとトウィードルダムもいた。
13年ぶりに再会した彼ら昔の仲間たちは赤の女王の圧制に苦しんでいた。そこでアリスはひと働きをして、怪物たちと対決し、最後には赤の女王を倒して白の女王による平和な世界を実現するという内容だ。
したがってこの物語は原作の「不思議の国のアリス」とはだいぶ趣が異なっている。それでも観客を楽しませてくれるのは、原作の精神に忠実だからだろう。
楽しませてくれるもうひとつの要因は3D技術の迫力だ。3Dの技術は新しいものではないが、映画に本格的に導入されるのはこれが始めてらしい。何しろ迫力が違う。画面が文字通り三次元に見えるのだ。投げられた石がこちらの方向に飛んでくると、思わず身をよけてしまう。
この迫力ある画面の中で、アリスを始め登場人物(多くは動物や怪物だが)が縦横無尽に暴れまわる。最後にミッションを終えて平和を取り戻したアリスは現実の世界に戻っていく。それをアリスは夢から覚めて現実に戻るのだと考えている。
だがマッドハッターが、これは夢の中の出来事なんかではないとアリスにいう。アリスもこれが夢だとしたら説明のできないことが多すぎると感じる。これは夢ではなく、異次元の世界での現実の出来事なのだ、子ども時代に経験したあの不思議な出来事も、夢なんかではなくほんとにおこったことの思い出だったのだ、そう考え直すシーンが印象的だった。
筆者もそう思うもののひとりだ。仮に御伽噺の体裁をとっているとはいえ、小さなアリスが経験したあの不思議な世界は、どこかに現実に存在した、もうひとつの別の世界だったのだと。
(上の写真は映画のオフィシャルサイトから:ディズニー提供)
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