ニューヨークのクリスティーズのオークションで、ピカソの油絵が美術品としての史上最高価格1億650万ドルで落札された。
この絵は1932年に描かれた「裸婦」Nude, Green Leaves and Bust という作品。縦150センチ、横120センチの大作だ。ピカソの恋人だったマリー・テレーズ・ワルテルを描いたもので、ピカソは妻に内緒でこの絵を描き続けたといわれる。
前面にはマリーが裸体で横たわり、背景にはピカソの首が彼女を見守っているという構図だ。ピカソの画業においてひとつの区切りをなすもので、ピカソはこれ以降明るい色彩の絵を好んで描くようになった。
この絵は1951年にロサンゼルス在住の個人の手に渡り、それ以来公衆の面前に現れることはほとんどなかった。唯一1961年に公開されたが、それはピカソの生誕80周年を記念してのことだった。それ故専門家の間では、幻の名画として珍重されている。
そんな背景もあって、今回の高額落札につながったのだろう。落札した人の氏名は公開されていないが、再び死蔵されることのないように願いたいものだ。
ところでこれまでの美術品の最高落札価格は、アルベルト・ジャコメッティの彫刻「歩く人」で、1億430万ドルだった。その次がやはりピカソの絵「パイプを加えた少年」で、1億420万ドルだった。
美術品市場は、リーマンショック以降沈滞していたが、最近は復調しつつあるという。今回の高値落札は、そんな状況を物語っているのかもしれない。
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