結婚があれば離婚があるのが世の習い。このことは普通の男女の間のみならず、同性愛者の間にも当てはまる。近頃はゲイ・マリッジの話題と並んで、ゲイ・ディヴォースすなわち同性愛者のカップルの間の離婚話が話題に上るようになった。その様子の一端を最近の TIME のWeb 判が伝えている。Can Gay Couples Divorce Where They Can't Marry? By Hilary Hylton
マサチューセッツ州で正式に結婚していた男性同士のカップルが、テキサス州の裁判所に離婚を申し立てた。
マサチューセッツ州は同性愛者の結婚に寛容な州だったから、ふたりは正式な法的手続きに従って、晴れて結婚することができたのだった。ところがテキサス州は、結婚とはひとりの男と一人の女の間になされる法的行為だという立場を固守している。したがって、同性愛者の間での結婚を認めないのは無論、彼らの離婚を論議するなどもってのほかのことだった。こんなわけで、彼らの提訴は宙に浮いたままだという。
同じ時期に、テキサス州に住む女性のカップルが州の裁判所に離婚を申し立てた。ところがこちらのケースは余り問題を起こさずに解決された。テキサス州の裁判所は、このふたり間での結婚と称するものは、テキサス州の憲法に照らして無効であり、そもそもふたりの間には始めから法的な意味での結婚状態は存在しなかったのだから、離婚していると変わらない状態だったとの判決を下したのだった。
同性愛者の離婚といっても、ケースによって微妙な差異が生まれるのは興味深い。一方は他の州で正式に結婚が認められたカップル、他方はそもそも法的に結婚していないとされたカップルが、離婚の調停を求めて法的なアクションを提起したものだ。
この二つのケースを始め、同性愛者の間で離婚が法的な問題煮まで発展する要因は、普通の男女の間の離婚の場合と同様に、カップルの間に財産がある場合や、ふたりの間に子どもが存在していることのようだ。
それなりの財産があり、その処分をめぐってカップルの間に対立があれば、それを法的な手段で解決しようとしたくなるのはよくわかる。まして子ども、とりわけゲイ・カップルの間で流行している養子があったりすると、その親権をめぐって深刻な対立が起こる。
アメリカでは、子どもは親の親権によって暑く保護されている。言い換えれば親権のはっきりしない子どもは、社会的に認知されない。パスポートも発行してもらえないケースが殆どだ。したがって養子を持つカップルは、離婚するにあたって、その親権をどうするするかについてエネルギーを裂かなければならない。
テキサスがゲイカップルを認めていれば、同性愛者の離婚も普通の離婚と異ならず淡々と法的な処置に従っていただろう。だがテキサスは州法で同性愛者の結婚を認めていない。そんな状況が、同性愛者のカップルの離婚がもつ、さまざまな問題点を浮き彫りにしたのだろうと思う。(上の写真は同性愛者の結婚式:Wikipedia より)
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