タコのワールド・カップといっても、タコがサッカーをした話ではない。タコが人間のサッカーの勝敗を予言した話である。(上の写真:ロイター提供)
話の主人公はドイツ・オーバーハウゼン水族館に飼われているタコのパウル。彼はワールド・カップの決勝試合の結果について、スペインが勝つと「予言」していたが、果たしてそのとおりになって、これで8回連続予言が的中したというので、世界中から、本番の試合以上に注目を浴びているのだ。
もともとは、予言の能力を買われて、故国ドイツの勝利について予言させられたことから始まった。いってみればゲンカツギのために動員されたといったところだった。
ところが予選リーグの三試合について、連続してドイツの勝利を予言したことに始まり、決勝トーナメントについても2試合連続してドイツの勝利を予言してそのとおりになったことから、一躍ドイツ国民の守護神とも言うべき人気を集めた。
6試合目にあたる決勝トーナメント第三戦についてはドイツの敗北を予言、結果もそのとおりになった。ドイツ人の中にはパウルを裏切り者呼ばわりするものまであらわれる始末だったが、他の国民の目にはかえって、予言の信憑性に対する納得が深まったのか、俄然世界中から注目されるようになった。
その後もパウルの予言は当たり続け、ドイツの7試合目の勝利と決勝でのスペインの勝利を含め、8試合連続して勝敗を正確に言い当てたわけだ。
タコのすることだから、大方は偶然の賜物と考える人も多いことだろうが、それにしても、8回連続して当たり続ける確立は、単純にいっても2の8乗分の一、つまり256分の1という小さなものでしかない。パウルはこの小さな蓋然性をクリアしたわけだから、神がかりの幸運に恵まれていたといってもよい。
ところで肝腎の試合のほうは、パウルの話題に消されがちではあるが、なかなかすばらしい内容だった。
日本がからんだ試合でも思い知らされたことだが、決勝の試合でも、オランダ、スペイン双方とも鉄壁の守備が光っていた。この守備を背負いながら、ほんの小さなチャンスをものにしたのがスペインだった。
ワールド・カップの今大会を象徴するような試合だったといってよいのではないか。
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