秋興其四(百年世事悲しみに勝へず)杜甫を読む

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杜甫の七言律詩「秋興其四」(壺齋散人注)

  聞道長安似弈棋  聞くならく長安弈棋に似たりと
  百年世事不勝悲  百年世事悲しみに勝へず
  王侯第宅皆新主  王侯の第宅皆新主
  文武衣冠異昔時  文武の衣冠昔時に異なる
  直北關山金鼓振  直北關山金鼓振るひ
  征西車馬羽書馳  征西車馬羽書馳す
  魚龍寂寞秋江冷  魚龍寂寞として秋江冷やかなり
  故國平居有所思  故國平居思ふ所有り

聞くところでは長安の防衛は一進一退とのこと、百年このかたの動乱は悲しみに耐えない、王侯の邸宅にはいまは新しい人が住みつき、文武の衣冠は昔とは異なっている

北の方關山では金鼓の音が響き、西の戦場には檄文が飛び交う、魚龍は川に潜んで動かずにいるが、このようにしていても故郷のことを思わぬことはない


長安の騒乱に思いを馳せたもの、この頃長安は吐番に攻められて、これを迎え撃つ官軍との間で一進一退していた、似弈棋とはそんな一進一退をさす言葉、

故國平居有所思は、平生故国(長安)のことを思わぬことはない、との意


関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説





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