アメリカ国勢調査局の統計によると、2009年におけるアメリカの貧困層人口は前年より400万人増えて4370万人となり、51年前の調査開始以来最悪の数字を記録したそうだ。総人口に対する貧困率は14.3パーセントになる。
日本でも、20年にも及ぶ異常な長期不況のあおりで、貧困層がかつてないほどに拡大しているので、他山の石などと言っておられる場合ではないだろう。
だがちょっと待てよ、と筆者などはいいたくなる。貧困についての基準が、日本のそれとは大分違うのではないか。
ここで貧困世帯とされているのは、4人家族で年収2万2000ドル(190万円)以下の所得しかない世帯のことだ。
この基準は日本人の生活実態とあまりにもかけ離れている。生活保護世帯でさえ、成長期の子供を抱えている4人家族の世帯では、これ以上の年収を得ているものもある。
だからたとえば、四人世帯で200万円の年収があれば貧困世帯ではないなどといわれると、びっくり仰天せざるをえない。
日米の経済指標の差は、複雑な要因を抱えているので、為替レートを単純に適用しての比較はナンセンスかもしれない。それにしても、4人家族で190万円の所得が、貧困世帯のガードラインだなどといわれると、ほとんどの日本人、とりわけ低所得層の日本人は、違和感を覚えるだろう。
日本人の誰もが、4人家族が200万円の年収で過不足なく暮らせるなどとは思っていないだろうからだ。日本ではこの金額では、子供の教育はもちろん、栄養もまともにいきわたらない可能性さえある。(上の写真はAFP提供)
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