秋興其八:杜甫を読む

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杜甫の七言律詩「秋興其八」(壺齋散人注)

  昆吾禦宿自逶迤  昆吾禦宿自づから逶迤たり
  紫閣峰陰入渼陂  紫閣峰陰渼陂に入る
  香稻啄餘鸚鵡粒  香稻啄み餘す鸚鵡の粒
  碧梧棲老鳳凰枝  碧梧棲み老ゆ鳳凰の枝
  佳人拾翠春相問  佳人の拾翠春相ひ問ふ
  仙侶同舟晚更移  仙侶同舟晚に更に移る
  彩筆昔曽干氣象  彩筆昔曽て氣象を干す
  白頭吟望苦低垂  白頭吟望低垂に苦しむ

長安近郊の昆吾禦宿のあたりの道はうねうねと続き、紫閣峰を経て渼陂に通じていたものだ、途中には稲の実がなって鸚鵡がついばみ余すほどだったし、青桐の枝は鳳凰がとまるにも耐えたものだ

佳人と互いに訪問しあっては、船に乗って暮れ方まで遊んだものだ、その頃の自分は氣象を干すほどの文章を書いたものだが、いまは白髪となって頭を垂れるばかりなのが悲しい


かつて長安で遊びにくれた思い出を歌ったもの。そのころの自分は文章にも力がみなぎっていたものだが、それに対比していまの自分は、白髪頭をたれるばかり、そんな老衰の惨めさを歌う。

昆吾、禦宿はいづれも地名、紫閣峰は終南山の一支峰、渼陂はそのあたりを流れる川の堤と思われる、杜甫は山々を超え、山中のせせらぎを求めて歩き回ったのだろう。


関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説





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このページは、が2010年9月 9日 18:56に書いたブログ記事です。

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