保証人ビジネス

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保証人ビジネスなるものが流行っているそうだ。主にネットを通じて、保証人を探している人と保証人になることで多少の報酬を求めようとする人とを結び付け、そこから利益を吸い上げようとするビジネスだ。

このビジネスが問題なのは、金を払っても保証人の手続きをしてもらえないケースや、保証人になったばかりに高額の負債を肩代わりさせられるケースが続発していることだ。

なぜこんなでたらめな商売がなりたつのか。そこには保証人制度を巡る日本独特の社会慣行があるとNHKは分析していた。

日本では、就職にしろ借家契約にしろ、保証人を立てることが求められる。ところが、今の時代になって、雇用が不安定になる中で、職場やアパートを頻繁に変える人が増えてきた。こういう人たちの新たな生き方を、細切れ人生というのだそうだが、彼らはそのたびに保証人を立てるように求められる。そんな彼らの事情に付け込んで、こんなビジネスが成立したわけだ。だからこれは、新手の貧困ビジネスだといえる。

このビジネスは、詐欺と紙一重の状態で成り立っているらしい。なにも好き好んで他人の保証人になる人はいないから、保証人になろうという人も、貧困に迫られてなっている。保証人を求める人も、保証人になった人も、好き好んでそうしたわけではない。そこを業者に付け込まれて、思わぬ被害を受けるケースが増えているようなのだ。

一番多いのは、業者に金を払ったにかかわらず、保証人情報なるものが郵送されてきただけで、実際に保証人になってもらえなかったというものだ。業者の言い分によれば、自分らは保証人の情報を提供するのが役割で、その先のことは当事者同士で話し合えということらしい。見え透いた屁理屈というべきで、詐欺と異なるところはない。

また報酬を求めて保障人になった人は、あたかも高い年収を得ているように虚偽の申告をさせられるという。そんなことをしていいのかと問いただすと、別に心配はいらないなどと、無責任な答えが返ってくる。こうして自分の支払い能力を超えたところで保証人になり、結果として見も知らぬ他人の負債を負わされることになる。

こんなわけで、保証人代行業務をめぐるトラブルが深刻な社会問題になっている。それでもなかなか減らないのは、保証人制度が日本の社会慣行として根付いているからだという。この慣行が生きている限り、保証人代行業務は必要悪なのだ、そんな趣旨のことを当の代行業者自身が主張しているというから、面白い話だ。


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このページは、が2010年9月26日 18:02に書いたブログ記事です。

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