離れ離れのふたり Les Séparés:マルスリーヌ・ヴァルモール

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マルスリーヌ・ヴァルモール Marceline Desbordes Valmore の詩「離れ離れのふたり」Les Séparés(壺齋散人訳)

  書かないで わたしは悲しくて消えてしまいたいほど
  あなたのいない夏は 灯りのない夜のよう
  あなたを抱けない苦しさから腕をむなしく組んでは
  自分の胸を叩いているの まるでお墓を打つように
  だから手紙を書かないで!

  書かないで いさぎよく死ぬことを学びましょう
  わたしがあなたを愛していたとか 
  あなたがわたしを愛していたとか そんなことは
  わたしには届かない天からの声を聞くようなもの
  だから手紙を書かないで!

  書かないで わたしは怖い 思い出すのがつらい
  その思い出の中でわたしを呼ぶあなたの声がつらい
  それは飲もうとして飲むことのできない水のようなもの
  あなたの筆跡がわたしにつらい思いを甦らせる
  だから手紙を書かないで!

  書かないで わたしがつらくなるようなことを
  あなたの声がわたしの心の中で広がって
  あなたの微笑がわたしを焼き尽くしそうになる
  わたしはあなたのキスが心に焼きつくのを感じる
  だから手紙を書かないで!


愛多き女性であったマルスリーヌはまた、もっとも愛に飢えた女性でもあった。彼女の愛は報われないことが多かったようだ。


Les Séparés  Par Marceline Desbordes Valmore

  N'écris pas. Je suis triste, et je voudrais m'éteindre.
  Les beaux étés sans toi, c'est la nuit sans flambeau.
  J'ai refermé mes bras qui ne peuvent t'atteindre,
  Et frapper à mon cœur, c'est frapper au tombeau.
   N'écris pas !

  N'écris pas. N'apprenons qu'à mourir à nous-mêmes.
  Ne demande qu'à Dieu... qu'à toi, si je t'aimais !
  Au fond de ton absence écouter que tu m'aimes,
  C'est entendre le ciel sans y monter jamais.
   N'écris pas !

  N'écris pas. Je te crains ; j'ai peur de ma mémoire :
  Elle a gardé ta voix qui m'appelle souvent.
  Ne montre pas l'eau vive à qui ne peut la boire.
  Une chère écriture est un portrait vivant.
   N'écris pas !
  
  N'écris pas ces doux mots que je n'ose plus lire :
  Il semble que ta voix les répand sur mon cœur ;
  Que je les vois brûler à travers ton sourire ;
  Il semble qu'un baiser les empreint sur mon cœur.
   N'écris pas !


関連サイト:フランス文学と詩の世界 マルスリーヌ・デボルド・ヴァルモール





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勉強になります。
これからも読ませてもらいます。

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