セーヌ川よりの眺め:パリ紀行その三

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エッフェル塔の足下にはセーヌ川流れ、イェナ橋架けられてあり。その橋の袂より遊覧船発着す。聞けば川を遡ってシテ島まで行くといふ。是非なく乗船す。

船はゆっくりと進みつつ、両岸の景色を堪能せしむ。先ほどは上空より町を俯瞰せしが、これは水面より街並を仰ぎ見るなり。川岸に沿って歴史的建造物次々と現はれ、威容を堪能せしむ、また順次現はるる橋もそれぞれに意匠をこらしてあり。とくに印象的なるはアレクサンドル三世橋にて、頑丈なる石造りの親柱に金色の彫刻を施したり。

セーヌ川は隅田川よりも川幅広く、しかも町の光景に溶け込みてあり。両岸にはおびただしき船舶係留せられ、いまも水運の盛んなることを思はしむ。その岸辺には散策用の歩道設けらるるほか、上流部分には車道も設置せられてあり。信号あらざれば高速道路を行くが如し。昨夜タクシーにて通り過ぎたるはこの車道なり。

ルーブル宮殿の長大なる建物を過ぎるや、川は二筋に分かる。シテ島によって分たるるなり。

船はシテ島の南岸をゆっくりと進みしが、やがてノートルダム寺院の威容眼前に展開す。下から見上げれば一段と迫力を以て人の目に迫るなり。一方サン・ルイ島には、パリで最も旧いといふ石造のマンション群連なりたり。

船はサン・ルイ島を過ぎたるところにてユーターンし、島の北岸を西す。かくて一時間余りにてイェナ橋に戻り着きたり。

下船後イエナ橋の袂より観光路線バスに乗り込む。カー・ルージュなる二階建てのバスなり。エッフェル塔を起点にして、アンヴァリード、ルーブル、オペラ、凱旋門などを周遊す。東京の下町を走る観光路線バスに似たるものなり。

ルーブルにて下車し、通り沿ひのブラスリーの路上席に座して昼餉をなす。目の前には自動車ひっきりなしに行き交ひ、その度に排気ガスを吹きかけられたり。店員すこぶる気さくにて、記念写真を撮影せらる。

食後川岸のブキニストを覘き歩き、ルーブル宮殿を過ぎる。ブキニストにてははがき大のパリの水彩画三枚五ウロにて販売す、またカルーセル・デュ・ルーブルのトイレに入るに、チップ二ウロの支払いを求めらる。パリの公衆用トイレは、ほとんどが有料なる由。それにしても一回二ウロ(一ウロ約百二十円也)とは驚きに耐えたり。

ピラミード通りの観光案内所に立ち寄りてパリ観光の情報を収集し、ミュージアム・パスなる観光定期券を求む。またオペラ座の指定席券を求めんとするに、これは直接オペラ座の窓口に行くべしといはる。

さればオペラ・ガルニエに赴き、レセプションに案内を請ふに、我が目的たる六日の催しは、この日は販売せず、明日改めて来るべしといはる、理由の説明あらざればいぶかしく思ひをるほどに、一の日本夫人大声を出して抗議を始めたり、折角切符を求めんとここまで来たのに、何故今売らぬかと食って掛かりをるなり。





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このページは、が2010年10月13日 22:05に書いたブログ記事です。

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