イェイツの詩集「音楽のために」から「クレージー・ジェーン神を語る」Crazy Jane On God(壺齋散人訳)
あいつは夜が好きだった
気が向くとやってきて
朝になると去っていった
あたしの都合にお構いなく
男たちも入れ替わりやってきた
これもみな神様の思し召し
旗が空一杯にはためいて
武装した兵士たちがいく
馬も一緒になっていななく
この狭い小道では
かつて大きな戦いがなされた
これもみな神様の思し召し
兵士たちの目の前には
一軒の家がたっている
誰もすまない廃墟だけれど
ドアから天上までいたるところ
突然灯りがともされた
これもみな神様の思し召し
ジャックはあたしの情夫だった
そのあたしは天下の大道
いろんな男が通り過ぎた
あたしのからだはうめきもせずに
そのたびに歌い続けたんだ
これもみな神様の思し召し
クレージー・ジェーンが自分の生涯を振り返って歌ったもの。娼婦だった彼女には多くの男が通りすぎたが、その中でジャックだけは特別の男だった。
Crazy Jane On God
That lover of a night
Came when he would,
Went in the dawning light
Whether I would or no;
Men come, men go;
All things remain in God.
Banners choke the sky;
Men-at-arms tread;
Armoured horses neigh
Where the great battle was
In the narrow pass:
All things remain in God.
Before their eyes a house
That from childhood stood
Uninhabited, ruinous,
Suddenly lit up
From door to top:
All things remain in God.
I had wild Jack for a lover;
Though like a road
That men pass over
My body makes no moan
But sings on:
All things remain in God.
関連サイト: イェイツ:詩の翻訳と解説
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