今年の米中間選挙は、大統領就任後2年を経たオバマにとって厳しいものとなった。共和党が下院で多数を制し、上院でも改選議席の三分の二を獲得、民主党は歴史的といってよい敗北を喫した。この結果については、さすがのオバマ大統領も、厳粛に受け止めざるをえなかったようだ。選挙後の記者会見の席上、感想を問われて It Feels Bad と答え、多くの同僚議員の敗退に遺憾の意を表明した。
何故こんな結果になったのか。すでに前哨戦のときから民主党は苦戦を伝えられていたが、その原因は、戦後最大の経済不況の余韻がなおも収まらず、深刻な不況感がアメリカ社会を覆っていることだと分析されていた。
過去の歴史を見ても、アメリカの選挙を左右する最大の要因は景気だった。景気の動向がアメリカ国民の財布に直接影響し、その結果深刻な不況は、政権にとって最大の打撃となる。クリントン政権の最初の中間選挙の際にも、アメリカの景気は悪かった、そのためクリントンの与党であった民主党は手痛い敗北を喫したものだ。あのレーガンでさえ、最初の中間選挙では、不況の責任を負わされて、与党の共和党が敗北したものだ。
クリントンもレーガンも、その後の2年間で景気が回復し、強いアメリカが復活するとともに、支持率も上昇、安定した政治運営ができるようになった。クリントンなどは、度重なるスキャンダルにも係らず、支持率が下がらなかったのは、好景気の賜物だとうらやましがられたものだ。
今後クリントンと同じ風が、オバマにも吹くかどうか、それはわからない。だがオバマは今のところ、そう深刻な打撃を受けたようには考えていないふしがある。共和党にも声をかけ、一緒にアメリカの課題を解決するのだと、訴えているからだ。
共和党のほうは、医療保険制度を撤回させて、政府の財政支出に歯止めをかけ、改めて小さな政府をめざすといっている。選挙もあって、民主党との路線対立を鮮明にさせているわけだが、当面はこうした対立姿勢を続けざるをえないだろうとみられている。
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