ロシアの法治主義:ホドルコフスキー裁判の行方

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ミハイル・ホドルコフスキー Михаил Борисович Ходорковский(上の写真:AP提供)といえば、ソ連崩壊後に登場した多くの実業家の中でひときわ精彩を放ち、新たな時代のチャンピオンとも言われた人物だが、その男を巡る裁判が大詰めを迎え、俄に内外の注目を浴びている。というのもホドルコフスキーは、裁判の中で一貫して権力批判を繰り返し、ロシアにおいては人権も法的正義も保障されていないと訴え続けてきたからだ。

ホドルコフスキーはかつてロシア最大の企業ユコスを率い、ロシア一の資産家として誰もがその成功を羨んでいた。ところが、2003年詐欺容疑で逮捕され、その直後全資産をプーチン政権に接収されたうえ、本人は8年の禁固刑に処せられた。プーチンが今日に至る強固な政治基盤を築きあげることができたのは、ホドルコフスキーから受け継いだ石油利権のおかげだと指摘する向きもある。

ホドルコフスキーの刑期がもうすぐ切れようとしているこの時期、彼に対する訴追が蒸し返された。この訴追によって、新たに6年の景気が加わり、彼は合わせて14年間刑務所暮らしをよぎなくされることになる。

西側先進国の感覚からすれば、とっくの昔に決着したはずの案件を蒸し返して、新たな訴追の種にするようなことは、よほど凶悪な犯罪の場合以外は考えられないことだ。そこにプーチンの深い糸を読み取るものが多いのは、必然の勢いだろう。

ホドルコフスキーの権力批判の矛先は、最近はメドヴェージェフに向けられている。メドヴェージェフは政権の中枢に飛び出てきたとき、ロシアを西欧並みの法治国家にすると約束した、ところが法治国家が実現されるどころか、陰湿な人権抑圧が相変わらずまかり通っている、メドヴェージェフもプーチンと同じ穴のムジナだと、その舌鋒は鋭い。


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