今日の人類の祖先ともいうべきアウストラロピテクス・アファレンシスのルーシーが生きていたのは、今から320万年前のエチオピアの平原だ。そのエチオピアで2005年に発見されていた化石が、ルーシーより更に時間を遡った360万年前の原人の化石である可能性が高まった。
この化石は肩甲骨や骨盤からなり、頭蓋骨や歯の化石は含まれていないが、専門家は、これがルーシーよりもっと旧い世代のアウストラロピテクス・アファレンシスである可能性が高いと推測している。
この化石は男のもので、研究者たちはカダヌームー(Kadanuumuu)と名づけた。カダヌームーは身長が150-180センチメートルと、110センチほどだったルーシーより一回り大きい。
骨の特長から、カダヌームーもルーシーと同じように二足歩行を行っていたと考えられるが、現代人のように二足直立歩行が原則だったわけではなく、樹上での生活と地上での歩行を交互に繰り返していたようだ。
カダヌームーより更に遡る原人としては、先般、420万年前のエチオピアに生きていたアルディピテクス・ラミドゥスのアルディが発見されたばかりだ。こちらは樹上生活の割合が更に高かったと思われる。
カダヌームーが生きていたのは、アルディとルーシーのちょうど中間の時代だ。人類の進化をめぐる謎が、いまひとつ埋まったというところだろうか。(上の写真はルーシーのイメージを復元した模型:ナショナルジオグラフィック)
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