ピエール・ド・ロンサールの詩集から「マリーへのソネット第23番」(壺齋散人訳)
ミニョン お寝坊さん 起きなさい
ひばりが空でにぎやかにさえずり
ナイチンゲールもサンザシの枝で
楽しそうに歌ってますよ
さあ起きて 草の露を見に行きましょう
バラの木がつぼみの冠をつけてますよ
可愛らしいナデシコも夕べのうちに
たっぷりと水をかけてもらいましたよ
昨夜眠るときに あなたは約束しましたね
わたしより早く起きますって
でもあなたの眼はまだ寝ぼけたまま
あなたに寝坊した罰をあげましょう
あなたの目やおっぱいに百回もキスをして
朝早く起きられるようにしてあげましょう
ロンサールにその霊感をもたらした二人目の女性マリー・デュパンはアンジューの農家の娘である。ロンサールは1555年の春、友人と一緒に野原で狩をしていたときにこの娘に出会った。
カサンドラが美しさの中に堅苦しさを感じさせたのに対して、マリーは天真爛漫な女性であった。そんなマリーにロンサールは詩想を掻き立てられ、多くの詩を作った。1555年に刊行した「続恋愛集」は、マリーに捧げられたソネットを収めている。
XXIII
Mignongne, levés-vous, vous estes paresseuse,
Ja la gaye alouette au ciel a fredonné,
Et ja, le rossignol frisquement jargonné,
Dessus l'espine assis, sa complainte amoureuse.
Debout donq, allon voir l'herbelette perleuse,
Et vostre beau rosier de boutons couronné,
Et voz oeillets aimés, ausquels avés donné
Hyer au soir de l'eau, d'une main si songneuse.
Hyer en vous couchant, vous me fistes promesse
D'estre plus-tost que moi ce matin eveillée,
Mais le someil vous tient encor toute sillée:
Ian, je vous punirai du peché de paresse,
Je vois baiser cent fois vostre oeil, vostre tetin,
Afin de vous aprendre à vous lever matin.
この詩は従来の10音節ではなく、12音節からなっている。アレクサンドランと呼ばれるこの形式は、韻律の上でも、意味作用の上でも、より多くの可能性をもたらしたといわれる。後の世代のフランスの詩人は、少なくともソネットについては、アレクサンドランを多用した。
関連サイト:フランス文学と詩の世界
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