危機の拡散が懸念されているEU諸国の中で、ギリシャ、アイルランドに続いてポルトガルとスペインが破綻するだろうといわれている。中でもポルトガルの財政危機は深刻で、いつ破綻してもおかしくないとささやかれている。
ポルトガルは当面、4月には45億ユーロ、6月には60億ユーロ程度の国債償還を控えている。これに前後してS&Tやムーディーズなどの格付け会社が、ポルトガルの格付けを危機的な水準にまで下げる可能性を示唆している。もしそうなれば、ポルトガルは借換債を発行できないこととなり、危機は一気に表面化するだろうとみられる。
ポルトガルの財政状況が一向に改善しない根本的な理由は、経済構造の後進性による、経済成長の低さだとされる。今世紀に入って以降、ポルトガルの経済成長率は、平均して1パーセントに満たない。この低成長が、国の財政に深刻な影響を及ぼしているわけである。
こうした事態の主な要因として、①過度な規制による非効率な国内市場、②低い教育水準に基づく貧弱な人的資源、③高い労働コストなどによる低生産性、などが指摘されている。(橋本拓磨「ユーロ防衛の最後の砦」)
ポルトガル政府は、なんとかして危機を乗り切ろうと、意欲的な財政均衡政策を打ち出している。歳出面では、公務員賃金の5パーセント削減、失業手当の減額、歳入面では付加価値税の増額(21%→23%)などであるが、これが思惑通りに実施できるかどうかは、国民の協力如何による。
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