マリーへのソネット第35番:ピエール・ド・ロンサール

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ピエール・ド・ロンサールの詩集から「マリーへのソネット第35番」(壺齋散人訳)

  あなたに花束を持ってきました
  わたしが自分の手で編んだものです
  いまのうちに摘まなければ
  明日には萎れてしまうと思ったのです

  あなたにはよい教訓になるでしょう
  あなたもこの花のように美しいけれど
  いつまでも美しくはいられない
  この花のようにしおれるときが来るのです

  時は流れ 時は過ぎ行く
  いや時ではなく わたしたちが過ぎ行くうちに
  波の彼方へと消え去るのです

  わたしたちの語り合う愛も
  死んでしまってはもう語れない
  だから愛しあいましょう まだ美しい盛りの間に


「続恋愛集」1555 所収。青春の美しさをしおれやすい花にたとえるのは、古今東西を通じて共通のこと。この詩もそうした例に倣っているが、表現が多少猥雑なようにも感じられる。呼びかけの相手が農家の娘だからか。


  XXXV

   Je vous envoye un bouquet de ma main
  Que j'ai ourdy de ces fleurs epanies:
  Qui ne les eust à ce vespre cuillies,
  Flaques à terre elles cherroient demain.

   Cela vous soit un exemple certain
  Que voz beautés, bien qu'elles soient fleuries,
  En peu de tems cherront toutes flétries,
  Et periront, comme ces fleurs, soudain.

   Le tems s'en va, le tems s'en va, ma Dame:
  Las! le tems non, mais nous nous en allons,
  Et tost serons estendus sous la lame:

  Et des amours desquelles nous parlons,
  Quand serons morts n'en sera plus nouvelle:
  Pour-ce aimés moi, ce pendant qu'estes belle.
  

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