どうしてこうなるのか?福島の第一原発で起きている事態を、固唾を呑んで見守っていた大勢の日本人は、みなこう思ったに違いない。
まず1号炉における冷却系の障害が報じられ、ついでその結果としての炉心溶融と建屋の爆発が起きた。やや時間をおいて、3号炉でもまったく同じプロセスが繰り返された。
これだけでも、ゆゆしき事態というべきところ、今度は2号炉で爆発が起きた。これも前の二者とほぼ同じプロセスをたどったものと思われたが、燃料棒が2度にわたり合計8時間以上も空焚きになるなど、もっと深刻な事態に陥った。この結果、圧力抑制室という心臓部に付随した部分が損傷した可能性がある。
上記三つの炉は、地震発生時に動いていたところを、緊急停止したものだ。停止後に燃料棒の冷却装置が不具合を起こしたことによって、このような事態に発展した。
ところが、地震発生時には、定期点検のために停止していたとされる4号炉で火災が起きた。これがきっかけで、これまでよりはるかに多量の放射能漏れが起きた。一時期は400ミリシーベルトを記録したという。人間に深刻な健康被害をもたらす数値だ。
地震が発生してから、4号炉の火災までは、四日近くたっている。専門的なことはわからぬが、危機管理に対応すべき時間としては十分に長いともいえる。その時間のスパンの中で、何故同じような事態が繰り返されたのか。
学者の中には、これは自然災害に人為的な災害が重なったものだという人もいる。対応が後手後手に回り、しかも正確さを欠いていたために、防げたはずの事態を引き起こしてしまったという見方だ。
たしかにそういわれても仕方がないほど、東電の技術者はじめ、現場の対応がまずかったのかもしれない。
400ミリシーベルトという数字を前にしたときは、筆者は大惨事の予感にとらわれたほどだった。同じような恐怖感に襲われた人は、膨大な数にのぼったことだろう。筆者の知人などは、家族を関西方面へ非難させることまで考えていた。
外国のメディアも、注視していた。ニューヨークタイムズをはじめ、多くのメディアが、この事故の進展について、オンラインで報道していた。そうした記事の中で目立ったのは、日本側の報道のタイミングの悪さと、正確性に欠ける点を批判した部分だ。ロシア政府などは、日本へ送る援助部隊の中に原子力の専門家を含めて、自力で情勢を分析したいと公言しているほどだ。
とにかく、事故への対応は純粋に技術的に、冷静に行ってもらいたい。そしてその進行具合については、専門家による詳細な情報をタイミングよく伝えてもらいたい。
外国のメディアは、こんなときに我々が見たいのは、政治家の間抜け面などではなく、責任ある技術者による客観的で正確な情報伝達だといっているが、日本国民だってそうだ。(写真は福島第一原発:REUTER)
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