写真は成田空港で自国に向かう便を待つ間、フロアに寝具を広げて横たわる中国人たち。中国人に限らず、日本に滞在している外国人の中に、福島原発事故に伴う放射能騒ぎで、日本脱出パニックが起こったのだ。
このパニック騒ぎの一端を、アメリカ人法律家のスティヴン・ギブンズ氏が、ウォールストリート・ジャーナル紙に寄せている。それを読むと、今回の事故への外国人の反応は異常といっていいほど、ヒステリックなものだったようだ。
ギブンズさんは、そうした外国人の反応を冷ややかにみており、東京がどれくらい危ないのか、冷静に考えれば過剰な脱出騒ぎだったといっている。とにかくあらゆる国籍の外国人が、なりふり構わず自国行のチケットを求め、それがかなわないと、とりあえず安心な第三国に向かおうとする。
中には当面の避難先としてインドネシアに脱出したアメリカ人が、現地でデング熱にかかり、その治療のためにやむを得ず日本にリターンしたなどという、笑い話のような出来事もあったそうだ。
だが外国人が疑心暗鬼になるのは、ある意味で仕方のないことかもしれない。何しろ事故を巡って連日発せられる政府や東電のメッセージは、一方で不安を煽り立てておきながら、他方では安心しろと言ってみたり、日本人の筆者にとっても支離滅裂なところがある。
日本人でさえ、信用できないところがあるのだから、外国人が全面的に疑うのは無理もない。フランス政府などは、日本政府のメッセージは信用する価値がないとして、自分で東京地方の放射能測定を実施する始末だ。
こうした笑えない事態が、日本に滞在する外国人たちを、日本脱出へと駆り立てているのだ。
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