桜の花が開いた。日本中の小中学校が入学式を迎える。だが東日本大震災の被災地では、数百に上る学校が再建できないでいる。幸い被災を免れた学校も、避難所として使われ、教育機能を回復できないものが多い。こんな状態の中で、被災地の子供の教育をどう保障していくのかが、重い課題となっている。
四日のNHK番組「クローズアップ現代 どう支える被災地の子どもたち」がこんな問題意識をつきつけていた。
被災直後には、被災した当事者もそれを支える立場の行政も、命をどうつなぐかで、精一杯だった。今でもそのことは基本的には変わっていない。
だが、入学式の季節を迎えたことで、壊滅した教育機能をどう回復させ、子供たちの学ぶ権利をどう保障するか、そのことが、喫緊の課題としてクローズアップされたといえる。
それと並んで、子供たちが受けた心の傷も、大きな問題となっている。
地震の揺れと巨大な津波の恐ろしい体験、親や兄弟など肉親とのつらい別れ、こうした体験が、子どもたちの心の中に癒しがたい傷となって、彼らを苦しめている。
また、避難所で支えあってきた仲のよい友達が、違う場所へ避難することで離れ離れにならねばならない。
肉親を失って孤児になった子供たちも、数百人規模に上ると推測される。
こうした子どもたちを、どうやって支えていったらよいか。
成熟した民主主義国家といわれるようになった日本社会が、真の実力を問われるときだ。(写真は被災した子どもたちのランドセル:ロイター提供)
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