このたびの大震災は動物たちにとっても試練だった。逃げ遅れて津波に呑まれたペットは夥しい数になると思われる。飼主は、自分が逃げるのに精一杯で、ペットを救う余裕もなかっただろうから、いたし方のないことといえよう。
そんな中で、奇跡的に生き残った動物の話がちらほらと聞こえてくる。
先日は屋根の上で漂流していた犬が自衛隊によって保護された。その様子がテレビで紹介されたところ、それを見ていた飼い主が名乗り出て、感動的な再会を果たした。
また、名取市にある宮城農業高校では、34頭いた学習用の乳牛が津波に呑まれたが、そのうちの14頭が生きて戻ってきたというニュースが流れた。
同校実習助手の渥美さんによれば、10頭ばかりの乳牛と実習をしている最中に地震があった。その直後、一旦は生徒たちとともに高台に避難したが、牛が心配で厩舎に戻ると、生き残ってくれることを祈って首輪をはずしてやった。すると牛たちは、津波に呑まれて次第に姿を消していった。首だけ波の上に出して、苦しそうにしている姿が、瞳の奥に焼きついたと、渥美さんはいう。
だがその日の夜までに、5,6頭の牛が、渥美さんたちのいる高台に戻ってきた。その後も少しずつ戻ってきて、その数14頭になった。中には5キロも離れたところで見つかった牛もあったそうだ。
渥美さんが、再会した牛たちを抱きしめてやったところ、牛たちは渥美さんの顔を、ぺろぺろとなめてくれたという。(写真は読売新聞から)
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