エレーヌへのソネット「キスして」:ピエール・ド・ロンサール

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ピエール・ド・ロンサールの詩から「エレーヌへのソネット:キスして」(壺齋散人訳)

  キスして ほおずりして 抱きしめて
  息を吹きかけてわたしを暖めて欲しい
  何度も何度も限りなくキスして欲しい
  愛には限度もきまりもないのですから

  繰り返し繰り返しキスして欲しい
  あなたの美しい唇を押し付けて欲しい
  冥王も青ざめて色を失うほどの
  激しいキスで攻め立てて欲しい

  あなたのばら色の唇を押し付けて欲しい
  そうしながら半ば閉じた唇から
  愛の言葉をささやいて欲しい

  わたしはあなたの腕の中で恍惚となり
  その恍惚の中からふたたび甦る
  宵闇から日の光の中に戻ってきたように


エレーヌへのソネットのなかでも、ひときわ肉官的なものだ。エレーヌは日ごろ、肉体を超越して精神の世界に遊んでいるような女性であったから、ロンサールは時によって激しい欠乏感にさいなまれたのだろうと思われる。


Maîtresse, embrasse-moi, baise-moi, serre-moi,
Haleine contre haleine, échauffe-moi la vie,
Mille et mille baisers donne-moi je te prie,
Amour veut tout sans nombre, amour n'a point de loi.

Baise et rebaise-moi ; belle bouche pourquoi
Te gardes-tu là-bas, quand tu seras blêmie,
À baiser (de Pluton ou la femme ou l'amie),
N'ayant plus ni couleur, ni rien semblable à toi ?

En vivant presse-moi de tes lèvres de roses,
Bégaie, en me baisant, à lèvres demi-closes
Mille mots tronçonnés, mourant entre mes bras.

Je mourrai dans les tiens, puis, toi ressuscitée,
Je ressusciterai ; allons ainsi là-bas,
Le jour, tant soit-il court, vaut mieux que la nuitée.


関連サイト:フランス文学と詩の世界





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