山邨五絶其三(老翁七十自腰鎌)蘇軾を読む

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蘇軾の七言絶句「山邨五絶其三」(壺齋散人注)

  老翁七十自腰鎌  老翁七十にして自から鎌を腰にし
  慚愧春山筍蕨甜  慚愧す春山筍蕨の甜きに
  豈是聞韶解忘味  豈に是れ韶を聞いて解(よ)く味を忘れんや
  邇來三月食無鹽  邇來三月食に鹽無し

老翁は七十にもなって鎌を腰にさし、春山の筍や蕨をとってはその味に満足している、だが別に孔子のように肉の味を忘れたわけではない、もう三ヶ月も塩のない生活が続いているだけだ


杭州時代の熙寧六年(1071)、管内の巡視中、新城付近(杭州の西南50キロの地点)で詠んだ五首連作の第三首。

内容からして時勢への批判が読み取れる。孔子が韶を聞いて、その感動の余り三か月もの間肉の味も忘れるほどだったとする故実を引き合いに出している。

70にもなって働きずくめで、食うものといえば筍や蕨ばかり、別に肉が嫌いだというわけではない、食えないだけなのだ。

王安石の新法によって、厳しい収奪を蒙っている農民の苦しさを歌ったものだ。蘇軾はこのような警世の詩を数多く書いたが、そのことが自分の官吏としての失脚をもたらすのである。


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