2011年7月アーカイブ

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このイラストは英誌エコノミスト最新号の表紙を飾っているものだ。Turning Japanese と題したカバーストーリーは、最近の欧米の経済危機とそれをただただ座視するのみの指導者たちの無能ぶりを、日本のかつての経済危機とそれをなすすべもなく呆然と見ていた日本の指導者たちに重ね合わせて批判している。

先日テレビを見ていたら、日本とフランスとの食事マナーの違いについて、興味深いレポートがあった。フランス人はコース料理が基本で、複数の料理を順番に食べていくのに対して、日本人は弁当方式で一括して配膳したうえ、複数の料理を平行して食べるということの考察だった。

エズラ・パウンドの詩集「ペルソナ」から「バスタブ The Bath-Tub」(壺齋散人訳)

  白い磁器で縁取られたバスタブ
  そこからお湯がこぼれてやがて冷める
  俺たちの勢いある情熱もやはりそのように冷める
  いくらほめても納得しない我が恋人よ

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アメリカの原子力行政においては、原発から出た使用済み核燃料は、再利用しないで、単に貯蔵しておくこととされたきた。貯蔵は短期的には各原発施設内の使用済み核燃料プールで行われるが、最終的には大規模な貯蔵施設に集約される。現在ネヴァダ州のユッカ山にある貯蔵施設がそれだ。ところがこの施設の容量が無制限ではないため、もうひとつ作るべきだとの議論が巻き起こった。

オセロの嫉妬

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オセロの並外れた嫉妬は観客を驚愕させずにはおかない。オセロは肌の色の相違を乗り越えてデスデモーナの愛を獲得し、人種差別の偏見を打破して彼女と結婚できたにかかわらず、ほとんどその直後にデスデモーナの不貞を疑うようになる。そしてその挙句に、狂乱状態となってデスデモーナを絞め殺すのだ。この間わずか二日しか経過していない。

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この映像(NASA提供)は、宇宙間に存在する膨大な量の水を飲み込んでいるブラック・ホールのイメージだ。(厳密にはブラック・ホールを中心にもつクエーサー)このブラック・ホールの質量は太陽の200億倍、それが飲み込んでいる水の量は140兆倍だ。

村上春樹の小説「海辺のカフカ」は母子相姦という重いテーマを扱っている。村上が何故こんなテーマを持ち込んだのか、筆者などには忖度できないが、少なくとも文面からはあまり陰鬱なイメージは受けない。それより自然にそうなったという印象さえ受ける。

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オオアナコンダ(Green Anaconda)は地上最大のヘビ。写真に写っているのは、これまで目撃されたなかで最も大きな個体で、体長は8.8メートル、体重は227キロ、胴回りは30センチというから、それこそ恐竜なみの大きさだ。

ロベール・デスノスの詩集「Les ténèbres(1927)」から「空の歌(Chant du Ciel)」
(壺齋散人訳)

  アルプスの花が貝殻に言った:輝いてるね
  貝殻が海に言った:歌ってるね
  海が船に言った:震えてるね
  船が火に言った:燃えているね
  火が僕に言った:君の瞳のほうがよく燃えてる
  船が僕に言った:あの子をみるときの君の心のほうがもっと震えてる
  海が僕に言った:あの子を呼んでいる君のほうがうまく歌ってる
  貝殻が僕に言った:君の夢の中で揺らめいてるリンのほうがもっと輝いてる
  アルプスの花が僕に言った:あの子は可愛いね
  僕は答えた:そうだよ、そうだよ、あの子は可愛いんだ

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アメリカ政府の債務上限問題をめぐる共和党との妥協が成立せず、このままでは連邦政府の債務不履行や米国債の格付け下落の恐れが現実化しかねない事態を前に、オバマ大統領が珍しく感情的になったようだ。国民向けの演説で、共和党を口を極めて罵り、交渉のいきづまりとその結果起きる混乱の責任はあげて共和党側にあると言い切った。さすがのオバマ大統領も堪忍袋の緒が切れたということか。

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ニューヨーク州は7月24日、全米で6番目に同性結婚を合法とする法律を施行した。するとニューヨークのマンハッタン区役所など各地の役所に、同性結婚の申請手続きを申し込むカップルが殺到した。

蘇軾の七言古詩「月夜與客飮酒杏花下」(壺齋散人注)

  杏花飛簾散餘春  杏花 簾に飛んで 余春を散ず
  明月入戸尋幽人  明月 戸に入って 幽人を尋ぬ
  褰衣歩月踏花影  衣を褰げ 月に歩して 花影を踏めば
  烱如流水涵青蘋  炯として流水の青蘋を涵すが如し
  花間置酒清香發  花間に置酒すれば 清香発す
  爭挽長條落香雪  争でか長条を挽きて香雪を落さん
  山城薄酒不堪飮  山城の薄酒 飲むに堪へず
  勸君且吸盃中月  君に勧む 且く吸へ 盃中の月
  洞簫聲斷月明中  洞簫 声は断ゆ 月明の中
  惟憂月落酒盃空  惟だ憂ふ 月落ちて 酒盃の空しからんことを
  明朝卷地春風惡  明朝 地を巻いて 春風悪しくば
  但見緑葉棲殘紅  但だ見ん 緑葉の残紅を棲ましむるを

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国連がソマリア南部の二つの地域(バクール、シェべリ川下流地域)に、21世紀初の飢饉宣言を出した。長引く内戦と干ばつによって食料が不足し、すでに数万人にのぼる人々が餓死したといわれる。

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東京スカイツリーが634メートルまで立ち上がったのは3月18日のこと、その一週間前の3月11日にはあの大地震が起きた。その日は、スカイツリーの建設にとって最大の山場、建築家の間でクリティカル・ポイントと呼ばれるところにあたっていた。何か大きな不具合がここで生じれば、スタート台に引き返さざるを得なくなるほど、重大な局面だった。その重大な局面を現場の技術者たちは何とか乗り切って、3月18日の立ち上げの成功につなげた。その戦いぶりを、NHKスペシャルが追跡していた。題して「東京スカイツリー:世界最難関への挑戦」

女殺油地獄は、近松門左衛門の浄瑠璃の中でも極めて異質なものと云える。心中ものとも姦通物とも異なり、この作品ではそれまでの近松の世界を貫通していた義理と人情とが見られない。見られるのは、欲望の赴くままに行動する悪党の、目を背けたくなるような暴力だけだ。

中国の脱線事故の現場を撮影したYouTubeの画像を見ていたら、脱線して高架橋からぶら下がった車体を乱暴にひっぱたいて落下させているところが写っていて、筆者はびっくりしたものだ。事故車両なのだから大事に保存して原因を究明するのが基本だろうに、逆のことをしていると思えたからだ。そうこうするうち、今度はもっとびっくりすることが起こった。脱線した車両の一部を解体して、それを掘った穴のなかに埋めてしまったというのだ。

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7月22日にノルウェーで起きた連続テロ事件は、世界中の人々を驚愕させた。たった一人の人間が、わずか2時間という時間の中で、90人以上にのぼる人々を殺したからだ。それも自分の目の前にいる人々(多くは十代の若者たち)を、銃で撃ち殺すという残忍な行為によって。

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「イカロスの墜落」と題するこの作品は、ブリューゲルがイタリア旅行から戻ってきた少し後に描いたものだとされている。一連の油彩画を描く以前のことで、1558年以前の創作だろうと思われている。

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中国版新幹線で脱線事故が起きた。新華社などの報道によれば、上海・温州間を走っていた列車が、温州付近で脱線、それに後ろから来た列車が衝突し、合わせて6両が脱線、その一部は鉄橋下に転落した。この事故で少なくとも35人が死亡し、100人以上が負傷したということだ。

いまや地球上に生息する人間の数は70億人、そのうち10億人は厳しい飢餓に直面している。急速な人口の増大に、世界規模での食糧生産が追いつかない、中国やインドなどの発展途上国が豊かになるのと比例して、そうした国や地域で飽食の習慣が広がっている、等々様々な原因が指摘されている。要するに食糧をめぐる需給のバランスが適正にコントロールされていないわけだ。

エズラ・パウンドの詩集「ペルソナ」から「墓碑銘」Epitaphs(壺齋散人訳)

フー・イー

  フー・イーは雲と山河を愛した
  それでも酔っ払って死んだ

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ホッキョクグマを観察しているグループが今年、687キロという気の遠くなるような距離を、休みなく泳いだホッキョクグマのことをつきとめた。このホッキョクグマは母親で、観察の当初は子どもを連れていたが、泳ぎ終えた9日後には子供の姿はなく、母親自身も体重を22パーセントも減らせていた。

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先日ロシアのメドヴェージェフ大統領がビールの消費に制限を課する法案に署名した。この法案は2013年に施行されるが、その暁には、ビールはスピリット類に分類されたうえ、若者の手に容易に入らないように様々な販売制限が課されるようになる。夜間11時から早朝8時まで全面販売禁止、コンビニでの販売禁止、公園、スポーツ施設、劇場、交通機関内での販売禁止といった措置だ。

イヤーゴの憎しみは並外れたものだ。それは当面はオセロへの憎しみを核にしているが、その延長でオセロの妻のデスデモーナを巻き添えにして破滅させ、またオセロの副官キャシオを罠にはめて破滅させる。こんなイヤーゴを、現代の観客は悪魔的な人物だと受け取るのだ。

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上の写真は人間に襲い掛かるヒョウを捕らえたもの。飛び掛かられた人は、大怪我はしたらしいが、幸い命に別状はなかった。それにしても、身の毛のよだつような恐ろしいシーンだ。

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イギリスのタブロイド紙ザ・ニューズ・オヴ・ザ・ワールド(The News of the World)の盗聴事件に端を発したスキャンダルは、160年の歴史を持つこの新聞の廃刊と、編集長レベッカ。ブルックス女史の逮捕に続き、オーナーであるルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏が英議会の公聴会に召還されるという事態に発展した。

村上春樹の小説「海辺のカフカ」には、トランスジェンダーの人物が出てくる。女性として生まれてきて、男性として振舞うようになった「大島さん」だ。だが大島さんは、普通に見られるトランスジェンダーとはちょっと異なった雰囲気を持っている。というより、トランスジェンダーとしては、かなりあいまいなところがある。

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大関魁皇関が、名古屋場所十日目の対琴欧州戦を最後に、現役引退を表明した。日本人としてただ一人大関を張ってきた力士が去るのはさびしい限りだが、ときあたかも同じ日の結びの一番で琴奨菊関が横綱白鵬関を破り、大関昇進をほぼ手中にしたから、新旧交代を見届けてからの引退表明になった。相撲ファンの一人としてこころからご苦労さんといいたい。

ロベール・デスノスの詩集「闇」から「柳の木の下で(Sous les saules)」(壺齋散人訳)

  燃え盛る駕籠の中のへんてこな鳥
  僕は鋼鉄の森の木こりさ
  ここにはテンもカワウソもいない
  へんてこな鳥が翼を広げて輝いてるんだ

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中国の新疆ウィグル自治区で暴動が起きたようだ。新華社電は、7月18日砂漠のオアシスホータンで、ウィグル人のグループが警察署に放火するなど暴動を起こし、治安部隊員ら4人を殺害したと報道したが、背景など詳しいことは触れていない。一説によれば、死者の数は20人ともいう。

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先稿でも述べたとおり、中国共産党結党90周年にあたる今年、中国全土で共産党をたたえる運動が繰り広げられているようだ。その極めつけは共産党の結成を描いた映画「建党偉業」の宣伝、全土にある映画館の9割以上にあたる6000の映画館で上映されている。今のところ中国人が気軽に見ることのできる映画はこれだけで、外国映画はもちろん、国産映画もほとんど上映されていないそうだ。

蘇軾の詩「中秋の月」(壺齋散人注)

  暮雲収尽溢清寒  暮雲収まり尽きて清寒溢る
  銀漢無声転玉盤  銀漢声無く玉盤転ず
  此生此夜不長好  此の生此の夜長へに好からず
  明月明年何処看  明月明年何れの処にか看ん

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能「安宅」は観世小次郎信光の傑作である。信光は観阿弥の弟音阿弥の子であり、自らは囃し方として活躍する一方、能作者としても優れた才能を発揮した。安宅は、船弁慶、紅葉狩りと並んで、彼の作風が縦横に発揮された作品である。

心中にはたいてい道行がつきものだ。道行とは人間の移動としての旅をうたった部分だ。日本の演芸は、謡曲をはじめこの旅を大きな要素として組み込んでいる。旅を組み込むことで、演劇に重層的な風格を生じさせているのだ。

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正直言って本当に驚いた。日本の女子サッカー・ナショナルチーム、なでしこジャパンが強豪アメリカを制してワールドカップに初優勝したことが、いまだに夢のように感じられる。

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「子どもの遊び」と題するこの作品の中で、ブリューゲルは実に250人以上の子どもたちを描いている。彼らの多くは大人のお下がりのようなだぶだぶの服を着て、あらゆる種類の遊戯に熱中している。

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静態保存されていた蒸気機関車のうち比較的保存状態の良いものを選んで機能を復活させ、鉄路の上を再び走らせようという壮大な試みが成功した。その復活劇の一部始終を、NHKが山田洋二監督とともに追跡した記録を、放映した。題して「復活――山田洋二SLを語る」

エズラ・パウンドの詩集「ペルソナ」から「舞いすがた」Dance Figure(壺齋散人訳)

  我が夜毎の夢に現れる
  黒い瞳の
  象牙のサンダルを履いた女よ
  お前ほどの美しさにはどのダンサーも及ばない
  お前ほどにすばしこい女はいない

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1924年に目撃されて以来姿を消し、絶滅したのではと思われていたボルネオ虹蛙(Bornean rainbow toad 上の写真:Indraneil Das /CI)が、ボルネオの高山地帯ペンリッセン山地の森の中で再発見された。

シェイクスピアが造形した悪党の中でもっとも悪党らしいものを3人選べといわれたら、リチャード3世、マクベスとならんで、イヤーゴ(Iago)をあげることに、誰も異存はないだろう。むしろ、もっとも悪党らしい悪党、シェイクスピア劇に出てくる悪党の中でもチャンピオン級の悪党といってよい。

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上の映像(NASA提供)は、形成されたばかりの原始星が、周囲の円盤から星間物質を吸収しながら、その一部を北極と南極からジェット噴射している様子を現したもの。この原始星はペルセウス座にあり、生まれてまだ10万歳しかたっていない、赤ん坊星だ。

「海辺のカフカ」はいろいろな意味で、村上春樹の創作にとって画期をなすものだ。それはとりわけ小説の複雑な構成とか手ごたえのあるテーマを追求していることに現れている。それと並んで文体の面でも、以前の作品とは比較にならないほど深い陰影を作り出している。

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まさかここまでやってくれるとは思わなかった。サッカー女子ワールドカップでの日本チーム「なでしこジャパン」の健闘ぶりである。準々決勝で優勝候補だった開催国ドイツを破り、準決勝ではスウェーデンを破った。その健闘振りを心からたたえたい。

ロベール・デスノスの詩集「Les ténèbres(1927)」から「犯罪的な金曜日(Le Vendredi du crime)」(壺齋散人訳)

  すさまじい欲望が眠れる女をとらえる
  貴重な宝石は王の宝石箱の中で眠ったままだ
  けだるそうな砂利が道端ではねても
  夜に目覚めているものの足音は聞こえない
  聞こえるのは滝の音だけだ

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「人形町に接する日本橋浜町は、今では明治座のある町として知られる。甘酒横丁を東の方角に歩いてゆくと突き当りが浜町公園で、その傍らに明治座が立っている。昔は海鼠壁の風情ある建物だった由だが、いまでは特徴のないビルに変ってしまった。初代市川左団次が久松町にあった芝居小屋を買い取る形でつくったもので、歌舞伎界の門閥に縁のなかった左団次はこの小屋をもったおかげで、斯界に旦那と呼ばれるようになった。二代目は歌舞伎の改良に熱心だったことで知られる。小山内薫や谷崎潤一郎らとも親交があり、谷崎の日記によく出てくる。永井荷風の日記にも松莚子とか高橋君とか呼ばれて頻出する。

熙寧十年(1077)蘇軾は密州から徐州の知事に転じた。徐州は江蘇省北部の交通の要衝であり、大都会であった。この地に蘇軾はわずか2年間在職したにすぎなかったが、行政官僚として洪水対策などで功績をあげたほか、詩人としての名声も飛躍的に高まった。そうした名声の高まりが、新法派の猜疑心を強め、やがて失脚へとつながっていく。

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ロシア大統領府長官ナルイシキン(Сергей Евгеньевич Нарышкин)が最近来日したが、日本のメディアは黙殺に近い扱いをした。日本政府の待遇はそれ以上にひどかったと、ロシア側には写ったらしい。ロシア政府高官に対するこうした日本側の冷遇振りを、プラウダなどは「面子をつぶされた」といって、批判している。

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東日本大震災では、浦安など東京湾の沿岸部を中心に液状化の被害も問題になった。東京湾沿岸部だけでも4200ヘクタールが液状化し、住宅の被害は関東地方だけで1万7000棟にのぼった。これだけでも世界最大の液状化だったとされる。

心中天網島は中段にクライマックスが来る。下段はそのクライマックスを形式的に成就させるための、心中という儀式の場面だ。それは純粋に形式的なものだから、物語の展開はない。ただ美というものを人々に体験してもらうための儀式なのである。

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山、落、松の諸氏と伊豆修善寺温泉に遊んだ。山子が細君を伴ったので、車二台のドライブになった。足柄インターで合流し、沼津の漁港で昼餉を食い、二時過ぎに修善寺に到着した。到着後、修善寺を訪れ、独鈷の湯の辺りと竹林を散策し、三時頃に新井旅館という宿に投じた。

先日美濃・尾張に旅行したあひるの仲間たち六羽が西新宿エルタワーの三間堂という京料理屋に集合して、暑気払いの小宴を催した。席上筆者は、旅行中に撮影しCDに焼き付けた写真を皆に配った。その中の何枚かは先日このブログでもアップしたところだ。

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「謝肉祭と四旬節の争い」は「ネーデルラントの諺」同様1559年に描かれたものだが、当時の民衆の生活がいっそう生き生きと、詳細に描き出されている。評論家の中には「謝肉祭」はプロテスタントを、「四旬節」はカトリックを表し、当時のネーデルラントで進行していた、宗教対立を寓意的に描いたという解釈をするものもあるが、そうした解釈を超えて、民衆の生活をパノラマ風に描いたと受け取る方が生産的だろう。

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上の画像(ナショナル・ジオグラフィック)は、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が新たに撮影した渦巻銀河M63、通称ひまわり銀河(サンフラワー銀河)だ。中心部の円盤と、そこから渦巻状に伸びる光の帯がよく見える。

エズラ・パウンドの詩集「ペルソナ」から「協定」A Pact(壺齋散人訳)

  ウォルト・ホィットマン 俺と協定を結ぼう
  俺はずっとあんたが嫌いだったけれど
  今は成長した子どもとしてあんたの前に立っている
  俺の親父はつむじ曲がりだけど
  俺はもう友達だって作れるんだ

オセロ(Othello)はシェイクスピア劇の中で最も大きな成功を収めた作品だ。17世紀の冒頭に上演されて以来、エリザベサン時代に続くジャコビアン時代にも人気を博し、クロムウェルの時代にも生き残り、世紀を超えてヴィクトリア時代にはシェイクスピア劇の神髄と評価され、20世紀においても、偉大な作品だと考えられてきた。

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お祭り好きのスペインでもっとも人気が高い祭、パンプローナのサン・フェルミン祭(Fiesta)が始まった。7月6日から14日までの9日間にかけて行われ、その間有名な牛追いが催される。

「海辺のカフカ」は村上春樹の名を国際的なものにする上で決定的な役割を果たした作品だ。この作品には「フランツ・カフカ」賞が贈られたが、その賞はノーベル賞につながるものだといわれている。村上はこの作品によって、世界規模での大作家となったわけなのだ。

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「ひとをコバカにしている」こういって怒っているのは玄海町長・岸本英雄さん。先日海江田経済産業大臣に原発再稼動の承認を求められて苦渋の決断をしたばかりなのに、今度は菅総理大臣みずから、原発の再稼動はストレス・テストなどの新たな措置を行ってからと表明した。一体どうなっているのだ。政府のやり方はコバカにしている、というわけだ。

ロベール・デスノスの詩集「Les ténèbres(1927)」から「ロベール・デスノスの声(La Voix de Robert Desnos)」(壺齋散人訳)

  花のようで 風のようで
  水の流れ 移ろう影
  夕暮れ時の微笑み
  あらゆる美や悲しみに似たもの
  それは真夜中のトルソー
  鐘楼やポプラの木よりも高く歩む

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2009年12月に役人の不正事件を追及していた弁護士セルゲイ・マグニツキー(Сергей Леонидович Магнитский)氏が取調べ中に死んだ事件について、あれは犯罪的な出来事だったと、ロシア大統領メドヴェージェフが非難した。ところが彼の避難する相手は的を得ていないのではないかと、欧米の新聞記者たちは大いに首をひねっているということだ。Russia blames doctors, not police, in death of lawyer Sergei Magnitsky By Kathy Lally

  百年三萬日  百年 三萬日
  老病常居半  老病常に居半す
  其間互憂樂  其の間互ひに憂樂あり
  歌笑雜悲歎  歌笑 悲歎を雜ゆ
  顛倒不自知  顛倒して自ら知らず
  直為神所玩  直ちに神の玩ぶ所と為す
  須臾便堪笑  須臾にして便ち笑ふに堪ふ
  萬事風雨散  萬事 風雨散ず
  自従識此理  自ら此の理を識ってより
  久謝少年伴  久しく謝す 少年の伴を

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ヨーロッパの研究チームが、超巨大ブラックホールを中心に持つクエーサーを発見した。このクエーサー(ULAS J1120+0641)は、地球から約129億年離れていることが赤方変移の分析からわかった。ビッグバンがおきたのが137億年前だから、この天体は宇宙生成から8億年後にできたことになる。

「心中天網島」は、近松門左衛門の代表作というにふさわしく、結構にも油断がない。構成上はほかの世話物と同じく、基本的には三段形式をとっている。

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福島原発によって広がった放射能汚染の実態をNHKが追跡していた。(NHKスペシャル:シリーズ原発危機 広がる放射能汚染)

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1559年はブリューゲルにとってターニング・ポイントとなる年だった。二三年前から描き始めていたらしい油彩画を、この年から本格的に描き出すのだ。しかもそれは西洋絵画の上でも、強烈なインパクトを持つ作品群だった。

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NHKが「果てなき苦闘 巨大津波 医師たちの記録」と題して、東日本大震災から三か月間の、被災地の災害医療の実態について報道していた。そこには、地域医療の全面的な崩壊という予想だにもしなかった厳しい状況を前にして、二十数万人の被災者たちにとって唯一の頼みの綱とならざるを得なかった石巻赤十字病院の医師たちの、懸命な努力が追跡されていた。そこからは、日本の災害医療の現状と、今後へ向けての課題がそれなりに浮かび上がってくる。さまざまな意味で貴重な記録だといえる。

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東京都庁が有楽町から新宿に移転したのは平成3年、その跡地を利用して国際コンヴェンション・ホールが建てられた。名称は東京国際フォーラム、竣工したのは平成9年のことだった。

エズラ・パウンドの詩集「ペルソナ」から「春」The Spring(壺齋散人訳)

  シドニアの春が従者たちを伴い
  ―それはリンゴの精や水の精―
  トラキアから吹いてきた風を避け
  この森を横切ると
  つぼみがいっせいに花開き
  どの葡萄の木も
  明るい光に包まれる
  すると荒々しい欲望が
  黒い稲妻のように落ちてきて
  心を困惑させてしまうのだ

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NHKスペシャル「ホット・スポット:動物たちの最後の楽園」第6回は「私たちの奇跡の島」と題して、日本列島に展開する豊かな自然とそこに生きる動物たちを特集していた。

「トロイラスとクレシダ」という劇には二人の道化が登場する。トロイ方のパンダロスとギリシャ方のテルシテスだ。彼らについてヤン・コットは、パンダロスを甘い道化、テルシテスを苦い道化と呼んでいる。

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今日(7月1日)は中国共産党が結成されてから90周年の節目の日だ。共産党政権は、この記念すべき日を大々的に祝った。90周年記念映画「建党偉業」を全国規模で上映し、すべての共産党員に観覧を義務付けたほか、記念出版、展示会、テレビショー、新聞社説など、あらゆる宣伝媒体を動員して、中国共産党の偉業を誇示した。

村上春樹の小説「ダンス、ダンス、ダンス」の中で、僕が赤坂警察署の刑事に尋問される場面が出てくる。それを読むと筆者などは、この人は警察が嫌いなのかなと思ってしまう。嫌いという言い方がきつすぎれば、好きでない、あるいは好意を感じていないと言い換えてもよい。



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