福島原発によって広がった放射能汚染の実態をNHKが追跡していた。(NHKスペシャル:シリーズ原発危機 広がる放射能汚染)
福島原発事故による放射能汚染の実態については、国はせいぜい100キロ圏内について調査しただけで、それ以外については組織的な調査を行ってこなかった。ところが神奈川県や静岡県のお茶の汚染が問題になったことがきっかけで、汚染はもっと広範囲に広がっていたことが明らかになった。
原発から遠く離れた地点での放射能汚染は、ゴク狭い範囲に集中している。これを番組はホットスポットと呼んで、これらの地点が汚染されたメカニズムを明らかにしていた。
ホットスポットが生じたのは、3月15日、3月21日といった特定の日であったことが分かってきた。これらの日には、建屋の爆発などによって大量の放射性物質が空中にばら撒かれ、それがプルームという雲上の形態をとって、風に乗って流れた。その流れていく先で、様々な要因が働いて放射性物質が地上に降り注いだ。最大の要因が雨であったことは明らかだ。
たとえば栃木県の那須塩原は、これまで国による調査は行われてこなかった。ところが自治体の調査によって、特定の地点が高い放射能値を示していることが明らかになった。住民は4ヶ月も、自分たちが放射能で汚染された場所に暮らしていたことを知らなかったわけだ。
こういう場所は、東北から関東にかけて広い範囲に存在しているはずだ。そこで暮らす人々の健康のためにも、もっと組織的な調査を行い、適切な対策をとる必要がある。番組はこう訴えていた。
つまり国のあまりにも無責任な対応を批判しているわけだ。その無責任ぶりは、30キロ県外にある地域での学校活動のあり方を、学校や保護者の判断に押し付けて、自らはなにもしないことにも現れている。
先日は子どもの放射線被爆限度量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに上げようとして強い批判を蒙ったところだが、この限度量を超えさせないために何を行っているかといえば、何も行っていないというのが現状だ。
とにかく政府がこれまでに言ったきたことといえば、放射能汚染の規模はたいしたことではないから心配するな、この一点張りだった。だからいまさら放射能の危険性を云々するのが照れくさいのかもしれない。
それにしても、原発近辺の大熊町の放射線量は500万―600万ベクレルという高さだ。あのチェルノーブィリについてみれば、148万ベクレルを越えた地域は立ち入り禁止措置がとられている。この値がいかに異常なものかがわかろうというものだ。
この状態がいつまで続くのか。何もしないでいては、住民が戻れる日はいつになってもこないかもしれない。
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