エズラ・パウンドの詩集「戦いの始まり」The Coming Of War(壺齋散人訳)
レテのイメージ
金色の
淡い光が満ちた
野原
灰色の断崖
その下には
海
花崗岩よりもザラザラとして
騒がしくうごめいている
高い波の形が
神の動きに見える
恐ろしい様相だ
すると誰かが叫ぶ
これぞアクタイオーン
黄金の臑あてをしたアクタイオーンが
動き回っているのだ
それにおびただしい数の人々
沈黙の従者たちも
アクタイオーンはギリシャ神話に出てくる不幸なキャラクターだ。50匹の犬を連れて草原を狩りしている最中、女神アルテミスが入浴している姿を見てしまった。怒ったアルテミスはアクタイオーンを鹿の姿に変えてしまったところ、犬たちがその鹿を食い殺してしまう、犬たちは詩かを見たら襲いかかるように訓練されていたからだ。
レテは水のニンフ、パウンドはこの詩の中で、アルテミスの代わりに水のニンフを持ってきたのだが、これらのイメージがなぜ戦いの始まりと結びつくのか、俄にはわからない
The Coming Of War: Actaeon Ezra Pound
An image of Lethe,
and the fields
Full of faint light
but golden,
Gray cliffs,
and beneath them
A sea
Harsher than granite,
unstill, never ceasing;
High forms
with the movement of gods,
Perilous aspect;
And one said:
'This is Actaeon.'
Actaeon of golden greaves!
Over fair meadows,
Over the cool face of that field,
Unstill, ever moving
Hosts of an ancient people,
The silent cortège.
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