1970年代に発見されたイヌ科と見られる動物の化石は、3万3千年前の犬のものだった。こんな事実を、ロシア科学アカデミーのヤーロスラフ・クージミン(Ярослав Кузьмин)氏が発表した。
これまで犬の家畜化は1万4千年前から1万7千年前まで遡ると広く信じられていたが、先般イギリスの動物学者ブラッドショー博士が、フランスの洞窟から発見された犬の化石が2万6千年前のものだと報告したばかりだった。それに続いて今回は、3万年以上前に遡る犬の化石が発見されたわけで、これをきっかけに今後、犬の家畜化のプロセスが詳細にわかるようになることが期待されている。
もっともこの犬は、現存する犬とは直接の連続性を有しておらず、狼から進化した一部の犬の流れが、途中で断絶したのではないかと見られている。
解剖学的な特徴を仔細に見ると、鋭い歯が狼としての特徴を残す一方、幅の広い頭骨が犬としての特徴を物語っている。全体的なイメージとしては、家畜化の程度は低かったのではないかと推測される。
フランスで発見された2万6千年前の犬といい、今回の犬といい、現存する犬とは直接のつながりはない。一方現存する犬は、東アジアに生まれたと推測されている。このことから、狼から犬への進化は複数のルートで起こり、そのうちのもっとも太いルートが現在の犬につながったのではないか。こんな風に推測することもできるようだ。(写真は頭骨部分:ナショナル・ジオグラフィックから)
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