アラブの春が地獄の夏に?シリアの流血

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8月1日はラマダンが始まる日、それにあわせてシリアの治安部隊がデモ隊に大規模な攻撃をかけた。ラマダンを通じて国民の反抗精神が高まることを警戒しての、事前攻撃だったとする見方が有力だ。

攻撃は、反政府側が掌握しているハマで大規模に行われた、この結果少なくとも70名以上が死亡、東部の都市デリゾールなど他都市をあわせれば、100名以上が死亡した。これで今年の1月下旬にデモが始まって以来、1700人以上の市民が死亡したことになる。

動乱は当初、チュニジアやエジプトなどのいわゆるジャスミン革命に刺激された形で自然発生的に始まったが、4月29日に起きたある事件がきっかけになって、爆発的に広がっていった。

ハムザという13歳の少年がダラアの町で公安に逮捕された。容疑は「体制なんてくそ食らえ」と叫んだことだった。少年は拷問を受け、顔面を削り取られ、ペニスを切り取られた後、弾丸を三発打ち込まれた。

この事件はシリアの人々の反政府感情に火をつけた。チュニジアで抗議の焼身自殺をしたブアジジと同じように、少年は一躍反体制運動のシンボルになったわけだ。

だがチュニジアでは民衆があっさりと体制を破壊したのとは異なり、シリアのアサド政権は簡単に崩壊する様子を見せない。リビアと同様の泥沼に陥る可能性も指摘されている。悲観論者の中には、「アラブの春がシリアでは地獄の夏に変わった」というものもいる。

シリアの体制がなかなか倒れないのは、警察や軍などがまだアサド政権を見限っていないからだとされる。

しかし、さしものリビアもカウントダウンに入ったといわれる。シリアもいつまで持ちこたえられるか、はなはだ微妙な時期にさしかかっているようにも思われる。(写真はロイターから)


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