米国債の格下げ

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アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズが、米国債の格付けを最上位のAAAから一ランク下のAA+に格下げすると発表した。格付け会社ムーディーズが1917年に米国債の格付をAAAに設定したのをスタートラインとして、米国債は今までに一度も格下げされたことはなかった。それだけに、今回の格下げはアメリカの威信が揺らぎ始めた象徴的な出来事としてとらえられる向きもある。

先日まで続いた債務上限問題を巡って、迷走を続けるアメリカの政治に世界中が注目していた。もしこの問題がクリアできなければ、米国債は格下げされるだろうと誰もが思っていた。そこを何とかしのいで、当面の危機は乗り越えられたかに見えたのだが、その矢先に今回の格下げが報道された。これが世界経済にどんな影響を及ぼすか、予断を許さない状況が当分続くだろう。

問題の性質があまりにも複雑でしかも影響するところが巨大すぎるので、これをどう受け取るべきか、俄には論評できないが、アメリカを中心に動いてきた20世紀的な世界秩序の枠組みが、どうも緩んできたようだ、そう受け取るのは筆者だけではあるまい。

少なくとも、日本経済の当面の先行きについては、この格下げは大きな影響を与えるだろう。当面する大問題である円高ドル安は、構造的な要因によるものだとの認識が広がるだろう。日本が単独で円安誘導をしても、とても効果が出るとは期待できないだろう。円高ドル安は当分続くと見なければならない。





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このページは、が2011年8月 7日 19:02に書いたブログ記事です。

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