蘇軾獄中の歌(2)

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蘇軾が獄中で死を覚悟し、弟の蘇轍に贈った詩二首のうちの二つ目である。自分が死んだ後に妻子が路頭に迷わぬよう、面倒を見て遣ってほしい、そんな気持ちが伝わってくる。

  柏臺霜氣夜淒淒  柏臺の霜氣 夜淒淒たり
  風動琅璫月向低  風は琅璫を動かし 月は低きに向ふ
  夢繞雲山心似鹿  夢は雲山を繞り 心は鹿に似たり
  魂驚湯火命如雞  魂は湯火を驚かし 命は雞の如し
  眼中犀角真吾子  眼中の犀角 真に吾が子
  身後牛衣愧老妻  身後の牛衣 老妻に愧づ
  百歲神游定何處  百歲の神游 定めて何れの處ぞ
  桐郷知葬浙江西  桐郷は知る 浙江の西に葬らるると

御史台(柏臺)には霜の気配が忍び寄り夜が寒々と更けわたる、風が緊縛の縄を吹き揺らし、月が西の彼方へと沈んでいく、夢はふるさとの山々を駆け巡り、まるで鹿になった気分だ、魂は死を恐れ、鶏のようにはかない命を嘆く

まぶたの裏にみるわが子は賢い相、死後に妻子たちに待っているだろう極貧を恥じるばかり、自分の死後に魂はどこをさすらうのか、わが死体が浙江の西に葬られることだけは、みんな知っているようだが


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