上の写真(AP)は、ナショナル・ジオグラフィックのThe Best of August に選ばれたもの。The Disappearing Act と題したこの作品は、中国の透明人間アーチストとして知られる劉勃麟(Liu Bolin)が制作したものを写したものだ。プラスティック容器を並べた棚の前に劉勃麟さん自身が立っているが、服の部分にもプラスティック容器を書き込むことで背景に溶け込み、あたかも透明人間であるように見える。
背景に溶け込ますことによって人物が見えなくなるように演出することから、カモフラージュ・アートあるいは背景同化アートなどとも呼ばれる。氏は1998年に初めてこの芸術様式を発表して世界に注目されて以来、さまざまなカモフラージュ・アートを作ってきた。いまでは中国を代表する前衛アーチストの一人である。
ところが氏の芸術は共産党の幹部には気に食わないらしく、最近北京にある彼のスタジオが官憲によって強制的に排除されてしまった。訳の分からぬ作り物で民心を惑乱させているというのが表向きの理由だが、実際には氏のアトリエが反体制芸術家のたまり場になっていることに、共産党が神経をとがらせたというのが真相らしい。
氏はこの作品を通じて、可塑剤(Plasticizer)の有害性を訴えてもいるという。
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