先日、菅総理の退陣三条件の一つになっていた「再生エネ法」が成立して、日本でもいよいよ一般企業や家庭による再生可能エネルギーが電力会社によって買い取られる仕組みができた。しかしそれが実際に機能するために必要な買い取り価格や買い取り期間といった条件は、これから決められることになっている。その次第によって、この制度の普及が促進されたり、逆に行き詰ったりすることともなる。
再生可能エネルギーの買い取り制度に関しては、ドイツが良い先行事例となっている。ドイツでは2000年にこの制度を発足させて以来、普及のための条件整備を進め、その成果が上がって、2010年には国内最終電力消費量の17パーセントを占めるまでになった。
そこでドイツの仕組みを参考にしながら、これからの日本の再生エネ買い取り制度をどう運用していくべきかについて、立命館大学の竹浜朝美教授が提言を行っている。(再エネ普及のカギは買い取り価格:日本版エコノミスト)
まずドイツにあって日本にないのが、優先接続義務といわれるものだ。これは家庭や企業から電力の買い取り請求があった場合に、電力会社は優先的に配線網に接続しなければならないというものだ。この規定があるために、家庭や企業は自分が発電した電力を必ず買ってもらえると補償される。ところが日本の法律では、電力会社は一定の条件のもとで買い取りを拒否できることになっている。これでは供給側は安定した計画が組めないこととなる。
次に重要なのが、買い取りの価格と期間とを、利益の出る水準に設定することだ。ドイツでは、発電機の設置に伴う減価償却を考慮したうえで、毎年の発電量によって一定の利益が出るように、買い取り機関や買取価格が定められる。
これまでのドイツ経験からいえば、年間売電収入比率が設置費用の10パーセント程度=回収年数が10年以下になれば、この制度は飛躍的に普及する。日本でもこの経験則を十分に考慮しながら、買い取り機関と価格とを決めていくべきだ、そう竹浜教授はいう。
ところで再生エネルギーを買い取るために余分に必要となる費用は電気料金に上乗せされる。これは再エネルギーを国全体で普及させていこうとする国家的な意思を表したものだ。日本でもその趣旨を十分に踏まえて、再生エネルギーの普及を図っていくことが必要だろう。(写真は再エネを推進するメルケル独首相:TIMEから)
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