今年(2011年)のワールドシリーズは、セントルイス・カージナルスとテキサス・レンジャーズとの戦いとなり、カージナルスが第7戦までもつれこんだシリーズ決戦を制して、5年ぶり11度目のワールド・チャンピオンになった。
今年のカージナルスには、ものにつかれているような勢いがあった。ペナントレースでは、接戦をものにしてワイルドカードを獲得、その勢いを駆ってリーグの覇者となった。
勢いはワールドシリーズの中では別の形で発揮された。逆転劇が相次ぎ、ファンを熱狂させた挙句、決勝の第7戦でも、レンジャーズに2点を先取されながらも、劇的な逆転劇を演じて、ワールド・チャンピオンの座を勝ち取ったのだ。
カージナルスと云えば、19世紀に創生されたナショナル・リーグの名門だ。ワールドシリーズ11度の優勝は、ヤンキースに次ぐ好記録だ。そのヤンキースと同じく、1920年代に台頭し、ロジャーズ・ホーンスビーを先頭に、第一期黄金時代を作り上げた。
1940年代には、「ザ・マン」と敬意を以て称されたスタン・ミュージアルを先頭に、第二期の黄金時代を作り上げた。近年は、マグワイアという強打者がチームを常勝軍団に上昇させる起動力となった。
セントルイスと云えば、どちらかと云えば地方都市の位置づけだが、こと野球に関しては、カージナルスのおかげで全米をリードする都市になったのである。
他方レンジャーズは昨年につづいて2年連続のリーグ優勝を果たしたが、カージナルスに傾いた幸運の女神の気持ちを揺り戻すことはできなかった。通常、リーグに連勝したチームは、二年目にはだいたいワールド・チャンピオンになってきたものだが、レンジャーズの場合には、そう単純には運ばなかった。
レンジャーズは、二代目のワシントン・セネタースがテキサスに移転してできたチームだ。(初代はミネソタ・ツインズ)移転当初は、西部劇の舞台テキサスらしくコルト・フォーティファイヴズと名乗っていたが、拳銃の名は教育上好ましくないという理由から、レンジャーズに改称した。
こんなわけで、今年のワールドシリーズは伝統チームと新興チームの一騎打ちとなったが、伝統チームが新興チームの挑戦を退けた形だ。(写真は優勝が決まった瞬間、マウンドに集結するナインと、熱狂的に声援するファン、選手たちが着ているユニフォームはロジャース・ホーンスビーが着ていたものと同じものだ:AP)
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