先日の野田総理による福島第一原発における冷温停止宣言を踏まえて廃炉にむけた工程を検討してきた政府と東電の合同チームが、その概要を発表した。使用済み燃料の取り出し開始までの第一期(2年以内)、溶融燃料取り出し開始までの第二期(10年以内)、廃炉完了までの第三期(30-40年)というものだ。
政府と東電はこれまで、廃炉までに要する期間を30年ほどと云っていたが、それより最大10年間延びたかたちだ。算定はスリーマイル島のケースを下敷きにしているが、スリーマイル島の場合、燃料の取り出し完了までかかった時間が10年間だったのに対して、福島第一の場合はその二倍以上かかる見込みだからだ。
大きな課題はいくつかある。ひとつは事故炉から使用済み燃料を安全にとりだして、別の燃料プールに移すこと。二つ目は原子炉内の燃料を安全に取り出すことだ。これらの燃料はメルトダウンの結果、原子炉の底に漏れ落ちているとみられているので、それを安全に取り出すためには、原子炉格納容器の完璧な冷却など、いくつかのハードルを超えねばならない。
廃炉作業とともに、原発周辺の除染作業も実施しなければならない。かかる費用は膨大なものになるだろう。そんなところから東電の復旧・賠償能力を懸念する動きもあり、事実上の国有化も検討されているという。
また現在非難を余儀なくされている人々が、いったいいつになったら安全な状態で旧居に戻れるのか、これについても政府・東電は早めに見込みを示す必要があろう。(写真は記者会見する原発事故担当大臣:AFPから)
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