民主党政府が、原発の稼働期間について法制化する方針を決めたという。稼動してから40年たった時点で原則的に廃炉するというものだ。脱原発社会の実現へ向けての第一歩といえるだろう。
現在日本国内にある原発は54基。そのうち福島第一原発1号機のほか、関西電力美浜原発1号機、日本原子力発電敦賀原発1号機が40年を過ぎており、美浜2号機も7月には40年を迎える。他の原発も順次40年を迎え、2030年には18基を除いて廃炉となり、そのまま新設されないと仮定すれば、2050年には原発がゼロになる計算だ。
この方針を巡っては色々な方面から様々な意見があるだろう。脱原発によって深刻なエネルギー不足が生じるという心配もわからぬわけではない。
しかしこの方針があってもなくても、福島を経験した日本は、いままでとおり原発に依存することはありえない選択だ。現在ある54基の原発にしたって、いったんオーバーホールに入ったら、再運転の見通しは限りなくゼロに近い状態に追い込まれている。原発政策の不透明さに危機感を抱く住民が、安易な再会を許すはずがなかろうからだ。
だから一度は脱原発に向けての意思決定を国として示したうえで、完全な脱原発までの移行期間をどのように切り抜けていくか、国民的な議論をする方が建設的だろう。代替エネルギーの開発も、その移行期間内に進めて行けば、かなりの現実性は期待できるはずだ。
住民の多くも、そうした枠組みに信頼感をもてるようになれば、オーバーホールした原発の再開に絶対ノオというわけでもないだろう。
一番よくないのは、明確なヴィジョンがないままに不信感ばかりが増幅され、未来に向けての準備が行えなくなることだ。未来どころか明日の生活さえも見通しがつかなくなる恐れがある。(図は毎日新聞から)