ドイツのメルケル(Merkel)首相とフランスのサルコジ(Sarkozy)大統領を合わせてメルコジ(Merkozy)というのだそうだ。いま世界中で最も熱い注目を浴びているカップルだ。ユーロの行方はこの二人のパフォーマンスにかかっているというわけだ。
そのメルコジが新年早々肩を並べ、仕事始めをアピールした。だがあまり効果的なアピールはできなかったようだ。年明け以来安値を更新していたユーロ相場が一時的に持ち直したが、二人の口から何も新しいメッセージが出てこなかったと受け取られるや、再び下落傾向に戻ったのがその証拠だ。
当面最も大きな課題になっているのがギリシャ問題だ。ギリシャがメルコジから突きつけられた財政再建に成功しなければ、デフォールトが一気に現実化し、ギリシャのユーロ圏からの脱落という事態も起きうる。そうなれば、ユーロは存続の危機に立たされるかもしれない。
ギリシャ以上に頭が痛いのがイタリアだ。年度前半に1800億ユーロの国債償還を控えているが、それを借り換えなどで無事乗り切れるかが焦点になっている。借り換えができないとなると、一気に金融危機が高まる。
金融危機を乗り切るために、財政の赤字解消策を追求するあまり、経済活動の縮小という副作用が出てきている。ドイツでさえ、昨年11月の工業生産額が前年度比マイナス1パーセントを記録したほどだ。
フランスでも財政赤字の解消策は景気の足を一層引っ張る形になっている。このままだとサルコジに再選の目はないといわれているほどだ。
こんなわけでいまのところ、ユーロ危機に特効薬はないといった状態だ。昨年暮れの政策パッケージを各国が実行することで、基礎体力を高めていくほかはない、といったところか。
パッケージの中で最も論議を呼んでいるのが、金融取引課税だ。イギリスのキャメロン首相は絶対反対の姿勢を崩していない。イギリスはアメリカとともに、金融業が経済成長を引っぱってきたという特殊事情があるためか、金融ビジネスにとって足枷になりかねない政策にはとても同意できないというわけだ。(写真はロイターから)
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